抄録
紅藻スサビノリ殻胞子の着生と発芽におよぼす懸濁および堆積物質の影響を明らかにするため, カオリンを用いて3種類の実験を行った; 1) 殻胞子と懸濁粒子の同時混合による着生, 2) 堆積粒子上に殻胞子を着生, 3) 着生殻胞子上に懸濁粒子を添加. 殻胞子とカオリン懸濁粒子を同時に混合した場合, 殻胞子の基質への着生の半数影響濃度 (EC50) が3μg/cm2と最も著しい阻害作用を示した. カオリン懸濁粒子が基質に堆積した上に殻胞子が着生した場合では, 影響堆積粒子量は1μg/cm2と発芽が著しく阻害された. 本研究結果から沿岸域への人為的な懸濁粒子の負荷が海藻群落の形成を阻害する原因になる可能性のあることが示唆された.