抄録
新潟県六日町地区の非定常な観測データに基づいた広域地下水の逆解析問題に, 赤池ベイズ情報量規準 (ABIC) による拡張ベイズ法と呼ばれる逆解析手法を適用した. 地盤工学の分野の逆解析を行う上で問題となる共線性は, 本研究においても観測井戸が解析モデルの中央部に集中しているため, その発生が予想される. この問題に対処するため事前情報を導入し, 観測情報と事前情報の適切な重み付けをABICにより解決し, もう一つの問題となるモデル選択の問題もABICにより解決した. 本研究の最も大きな成果は, 解析モデルの水頭変化を計算し, その結果を逆解析に用いていない実際の観測値と比較したことにより, ABICにより選択されたモデルの予測信頼性を確認したことである.