抄録
岩盤のモニタリングの一手法として弾性波伝播現象の測定が考えられるが, 従来の方法による原位置弾性波測定では, 弾性波速度で数%程度の精度しかなく, 極めて長期にわたる安定性あるいは遮蔽性をモニタリングするには, さらに高い分解能が必要な場合が考えられる. 本研究は, このような観点にたち, 原位置における高精度の弾性波測定システムの開発を行った. そして, これを用いて原位置における長期間の計測を行なった結果, 弾性波速度で0.003%の分解能を有し, 地震発生に関連した0.010%の速度変化を検出することができた. この程度の速度変化は岩盤内応力変化で0.01MPaのオーダーに対応するものと推定され, 本システムはこの程度の応力変化に対応した速度変化のモニターが可能である.