1997 年 1997 巻 577 号 p. 121-130
I型断面桁を現場溶接する際, ウエブにスカラップを有するディテールとなるが、スカラップが存在することよりせん断変形が生じ局部的な応力集中が発生する. このため疲労強度の低い継手であり, JSSCの疲労設計指針ではこのディテールをG等級としている. 本研究では, 特にせん断の影響に着目するため複数のジャッキで位相を変えてせん断力の方向が変わるように載荷し, 少主桁橋の現場溶接を想定し厚板フランジでの疲労強度を確認した. また, 疲労強度を向上させるため, 廻し溶接部をグラインダー仕上げすることによる効果を明らかにした. これらの結果より, スカラップを有するI型断面桁を現場で溶接する構造ディテールの設計・製作上考慮すべきことがらを明確にした.