抄録
本論文は, 15年間にわたる鉄筋コンクリート梁の海洋暴露実験を通じてエポキシ樹脂塗装鉄筋の防食効果を明らかにしたものである. 比較のために用いた非塗装鉄筋のコンクリート梁では, 鉄筋の腐食が著しく海洋暴露期間が13年から15年程度で鉄筋の腐食により自己破断する梁もあった. これに対して, エポキシ樹脂塗装鉄筋を用いた鉄筋コンクリート梁の場合には, 鉄筋の腐食に伴うようなひびわれの進展は殆ど見られず, コンクリートから取り出した鉄筋のエポキシ樹脂塗装を除去した状態では当初の光沢を保っているものが大半であり, その耐久性が確認された. 一方, 比較の一つとして取り上げた亜鉛めっき鉄筋を用いた場合に関しては, 亜鉛めっきの犠牲防食効果は殆ど認められなかった.