抄録
最終処分場の斜面では遮水を目的として遮水シートが用いられ, その天端は抜け出しが生じないように強固に固定されなければならない. 固定工に作用する各種力の中で, 気温降下に伴い遮水シート内に発生する熱応力の占める割合は大きいと言われているが, その評価式は未だ存在しない. そこで, 端部の固定条件を変化させた室内実験及びフィールド実験を実施することにより, 遮水シートの温度と発生する熱応力の関係を検証した. その結果, 遮水シートの種類によって熱応力の大きさが著しく異なることが明らかになった. また, 遮水シートの端部が完全に拘束されたときの実験値は, 弾性熱応力評価式と一致することを示し, 端部拘束力が覆土圧に依存する摩擦力に起因するとき, 熱応力は完全拘束時の値より幾分小さくなることを示し, これを計算するための評価式を提案した.