抄録
水セメント比の相違が, 鉄筋コンクリートの曲げひび割れ部に形成される腐食の形成機構に及ぼす影響を, 実験的に検討した. 初めに, モルタルを用いた腐食促進試験を行い, 塩化物イオン浸透性および酸素透過性と腐食形態の関連を調べた. ここで用いた供試体は, 実構造物では測定不可能な鉄筋内部を流れる電流を測定するため, 7本に分割した鉄筋をモルタル内部に埋設した. さらに, 曲げひび割れ近傍に生じる, 鉄筋とモルタルの剥離部を考慮した. 最後に, 鉄筋コンクリート梁供試体を用いた腐食試験により, モルタル試験を検証した. この結果, 鉄筋コンクリートの曲げひび割れ部に生じる, 腐食の発生機構とその後の進行形態が明らかとなった.