抄録
水中の遺伝毒性を示す物質の同定に umu-test とHPLC分析, MS分析を併用しその定量を試みた. ヘテロサイクリックアミンは, ヒトの発癌性物質と推定されている物質群で, ヒトの排泄物や雨水中に検出されている. それらの起源は, 蛋白質を含む食品, あるいは植物 (煙草の葉や木) を加熱処理したときに同定されている. 我々は日本のある都市下水処理場の処理水中にヘテロサイクリックアミンの一種である3-アミノ-1-メチル-5H-ピリド[4,3-b]インドール(Trp-P-2) を単離, MS分析により同定し, その濃度が10-2μg/Lのオーダーであると推定した.