抄録
乱流中の風速変動の影響を受ける長大橋のフラッター限界風速は, 一様流中と比べて, 風速の評価時間との関係で不安定化するという考えと, 自励空気力の空間相関の低減によって逆に安定化するという考えの相反する2つが存在する. また, 既往の実験的研究によっても, 両方の結果が得られている. 本研究では, 明石海峡大橋を対象に, 自励空大力の空間相関を考慮したフラッター解析を行い, 同橋の一様流中及び境界層乱流中での全橋模型試験結果と比較検討することで, 乱流中の風速変動がフラッター限界風速に及ぼす影響を検討した. その結果, 自励空大力の空間相関を考慮することでフラッター限界風速が上昇することを確認したが, 風洞試験結果からは明らかな風速変動の影響は認められなかった.