抄録
愛知県知多市緑浜町に, 容量20万KLと世界最大級のLNG地下タンクの建設を進めている. 建設地点は第三紀堆積軟岩 (常滑層群) 地盤の埋立て地であり, 円形山留めである高強度地中連続壁を構築後, 内部を掘削し, LNG地下タンク本体を建設するものである. 内部掘削工事の進行に伴い, 円形山留めに北東-南西方向に押された形のオーバル変形が観測された. 同様の現象は, 隣接地点の円形山留め掘削時にも観測されている. 当該地区地盤の特徴であると考えられるこの現象に対し地質学的検討を加えた結果, 地殻応力に由来する初期地圧の異方性力源因と考えられた. 今後の山留め設計・工事へ反映させるため, 偏圧の作用方向推定手段の提案等, 今まで明らかになったことに考察を加えまとめた.