土木学会論文集
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1999 巻, 630 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 高木 健次, 前田 勉, 宮永 誠, 西 琢郎
    1999 年 1999 巻 630 号 p. 1-10
    発行日: 1999/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    愛知県知多市緑浜町に, 容量20万KLと世界最大級のLNG地下タンクの建設を進めている. 建設地点は第三紀堆積軟岩 (常滑層群) 地盤の埋立て地であり, 円形山留めである高強度地中連続壁を構築後, 内部を掘削し, LNG地下タンク本体を建設するものである. 内部掘削工事の進行に伴い, 円形山留めに北東-南西方向に押された形のオーバル変形が観測された. 同様の現象は, 隣接地点の円形山留め掘削時にも観測されている. 当該地区地盤の特徴であると考えられるこの現象に対し地質学的検討を加えた結果, 地殻応力に由来する初期地圧の異方性力源因と考えられた. 今後の山留め設計・工事へ反映させるため, 偏圧の作用方向推定手段の提案等, 今まで明らかになったことに考察を加えまとめた.
  • 堺 孝司, 高柴 保明, 高垣 孟, 若林 元, 平井 陽一
    1999 年 1999 巻 630 号 p. 11-25
    発行日: 1999/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 寒冷地における防食塗装技術の確立に向けて, 鋼道路橋塗装便覧の塗装仕様に加えて氷海用塗料や新たに試作した寒冷地用重防食塗料などの超厚膜型塗装系の性能を暴露試験と実橋試験に基づいて評価した. 暴露試験10年, 実橋試験8年の結果から, 寒冷地用重防食塗装系としては, ジンクリッチベイントを下塗とし, エポキシ+ボリウレタンまたはふっ素樹脂塗料を適用した塗装系が防食性に優れていること, 超厚膜型塗装系も耐候性に優れた上塗り塗料を適用すれば重防食塗装系として期待できること, およびフタル酸, 塩化ゴム系塗料は, 早期に割れ, はがれ等が発生し, 寒冷地用塗料として不適であることなどが明らかになった.
  • 荒井 健, 新井 斉, 山崎 宣悦, 大即 信明
    1999 年 1999 巻 630 号 p. 27-38
    発行日: 1999/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    管理型廃棄物最終処分場に敷設された合成樹脂や合成ゴムのしゃ水シートの電気的漏水検知システムの研究が広く行われるようになった. これらの電気的漏水検知システムは, 電位差や電流および電気抵抗の測定で漏水の周辺に生ずる電気的な異常をとらえることによっている. こうした測定システムのすべては, しゃ水シートの有する高い絶縁抵抗を前提としている. しかしながら, 各種しゃ水シートの電気特性を調べてみると, 絶縁体とはいえないものもあり, 測定の前提条件が必ずしも成立していない. 本論文は, 管理型廃棄物処分場の電気特性を踏まえた上で, 各種しゃ水シートの電気特性を検証し, 電気的漏水位置検知システムの測定結果に与える影響について述べる.
  • 伊達 健介, 五十嵐 寛昌, 笹倉 剛, 建山 和由
    1999 年 1999 巻 630 号 p. 39-53
    発行日: 1999/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    複円形シールド機の掘進線形を確保するために, 姿勢制御技術の確立は重要な課題であり, 筆者らはシールド機の施工自動化を目的として, シールド機の姿勢制御について研究している. 本論文では, まず, 姿勢制御パターンと姿勢変化量の関係を明らかにするため, 姿勢変化評価式を構築した. さらに, 中折れ機構を有する2連円形シールド機を用いて2シリーズ (シリーズI, II) の現場掘進実験を実施し, シリーズIの実験結果から同式中における未定パラメータを固定し, シリーズIIの実験結果を用いて姿勢変化量の予測値との比較を行い, 同式の妥当性の検証を行った. その結果, 姿勢変化評価式に各制御値を代入することによりほぼ妥当な姿勢変化量が得られることがわかった.
  • 重松 文治, 野口 仁志, 清水 英範
    1999 年 1999 巻 630 号 p. 55-64
    発行日: 1999/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    海上埋立空港の沈下測量は航空機の安全運航や舗装施設の維持管理のために重要な作業である. しかしながら, 現状の測量作業においては, オートレベルやトータルステーションを用いて空港外の安定した水準点からもりかえ作業を繰り返しながら測量しているために時間を要するなどの課題がある. GPSは直接測点の位置と高さを求めることができるため, もりかえ作業が不要になり測量時間の短縮と省力化が可能である. しかし, GPSによるリアルタイム測量の結果は大きく変動しているため, 沈下測量に必要な精度を得るためには静止して長時間測量を行い平均する必要がある. 本研究ではこの課題を解決し測量作業の効率化を図ることを目的にGPSとレーザーレベルと組み合わせ, 移動しながら正確な高さ情報が得られる新たな空港沈下測量システムを開発した.
  • 柳浦 良行, 豊岡 義則, 友清 悟
    1999 年 1999 巻 630 号 p. 65-75
    発行日: 1999/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    砂質土の透水係数を求める方法の一つである単孔式透水試験において, 近年, 建設工事の多様化に伴い, その適用深度, 試験時間, 泥水処理等が問題になる場合が多い. これらの問題を生じ難い現場透水試験法としてBATシステム (スウェーデンのB. A. Torstensson が開発したシステム) があるが, 現状では装置自体の損失水頭の影響で粘性土にしか適用できない. 本研究では, BATシステムによる現場透水試験法を中間土~砂質土へ拡張するため, この損失水頭の大きさが装置内を流れる水の流速に関係することに着目し, それを最小限にするために装置自体の改良を行い, 補正方法を開発した.
  • 大林 成行, 小島 尚人, Chang-Jo F. Chung
    1999 年 1999 巻 630 号 p. 77-89
    発行日: 1999/09/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 広域にわたる斜面の崩壊危険箇所の評価支援を目的として, 複数の斜面安定性評価モデルから得られる評価精度を比較し, モデルを活用する上での戦略を提案したものである. 斜面安定性評価モデルとして, (1) SSEモデル (数量化II類), (2) ベイジアンモデル, (3) ファジーセットモデル, (4) 確信度モデルといった4つの代表的な手法を取り上げた. これらのモデルでは, 衛星データと各種地理情報を併用し, 崩壊発生箇所をトレーニングデータとして広域にわたる危険箇所を推定する. 斜面安定性評価図の一対比較戦略を通して, ファジーセットモデルとSSEモデルが有用であることが判った. さらに, この2つのモデルから作成される斜面安定性評価図の違いを抽出した「差画像」を提示し, この差画像とその解釈の方法が斜面崩壊防止計画等への支援手段として有用となることを示した.
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