本研究は, 広域にわたる斜面の崩壊危険箇所の評価支援を目的として, 複数の斜面安定性評価モデルから得られる評価精度を比較し, モデルを活用する上での戦略を提案したものである. 斜面安定性評価モデルとして, (1) SSEモデル (数量化II類), (2) ベイジアンモデル, (3) ファジーセットモデル, (4) 確信度モデルといった4つの代表的な手法を取り上げた. これらのモデルでは, 衛星データと各種地理情報を併用し, 崩壊発生箇所をトレーニングデータとして広域にわたる危険箇所を推定する. 斜面安定性評価図の一対比較戦略を通して, ファジーセットモデルとSSEモデルが有用であることが判った. さらに, この2つのモデルから作成される斜面安定性評価図の違いを抽出した「差画像」を提示し, この差画像とその解釈の方法が斜面崩壊防止計画等への支援手段として有用となることを示した.
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