抄録
本研究では, 鋼製パイプ断面橋脚に対する4つの復元力モデル, すなわち: バイリニアモデル, トリリニアモデル, 統合2パラメータモデルおよびダメージインデックスモデルによる弾塑性地震応答解析結果を比較することを目的としている. 結果として, 強度および剛性の劣化を考慮していないバイリニアモデルは, 残留変位を精度良く予測できないことを示した. また, トリリニアモデルによる解析結果は, バイリニアモデルに比べて, 統合2パラメータモデル, あるいはダメージインデックスモデルによる動的解析結果に近いが, 繰り返しによる強度劣化および剛性劣化を考慮していないため, 適用範囲などに注意する必要があることを示した. 最後に, レベル2・タイプI・III種地盤地震動に対する残留変位を除いて, 統合2パラメータモデルとダメージインデックスモデルを用いた解析結果が適用範囲Hr≧Hy(Hr=終局強度) において良く一致していることを示した.