抄録
有限要素解析における要素内の応力がテンソル量であるのに対し, 剛体一ばねモデル解析で求められる応力は要素境界辺における表面力 (ベクトル量) である. 本論文では, ランダム形状要素を用いた剛体-ばね系モデルに基づく応力テンソルの解析法を提案する. まず, 一様な引張りを受ける材料の応力解析から, 剛体-ばね系は次の2つの条件を満たすとき弾性的に均質であることを示す. すなわち, 1) 剛体要素の幾何形状がヴォロノイ分割図で定義されること, および2) 系の変形自由度がヴォロノイ分割の母点で定義されること. さらに, より一般的な荷重条件に対して, この応力テンソル算定アルゴリズムの適用性と精度を有限要素解析結果との比較により提示する.