今日, 我が国の津波防災に関する研究は, 国際的にも高い評価を受けている. しかし, それぞれの研究成果は, 関連性がないままになっており, これまでに講じられてきた津波防災対策を全般的にオーソライズし, 評価する体制は十分とはいえない.
そこで, 本研究では, 津波常襲地域である岩手県沿岸域14市町村を対象に, 津波被害史, 津波対策史, 被災復興史という3つの観点から津波防災に関する情報を収集し, 津波防災に関するデータベースを構築した. そして, データベースにおいて制約, 結合といったデータ操作による分析を行い, 津波防災の変遷を明らかにし, 岩手県沿岸域における津波防災上の共通課題を探索した.