抄録
成層弾性波動場の Green 関数の計算に必要な分岐線積分の積分核の固有関数への分解表示を佐藤の超関数 (Hyperfunction) の概念を用いることで求めた. 佐藤の超関数は複素関数の実軸上での境界値の差として定義されるが, ここではレゾルベント集合で定義された Green 関数のスペクトル (虚数軸も含む) 上での境界値の差として Hyperfunction が得られると考えた. これによって, 積分核の連続スペクトルの固有関数への分解がスムーズな形で行われるばかりでなく, 連続スペクトルの固有関数に対するエネルギー積分も自然な形で導入できること, エネルギー積分の対称性が定式化の流れのなかではっきりと捉えられることを見出した.