2000 年 2000 巻 641 号 p. 77-86
本研究では, 不均一性の代表的要因である遷移帯に着目し, 配合および材料条件が遷移帯特性 (厚さ, 空隙率) に与える影響に関して定量的評価を行い, ペーストと遷移帯の移動係数を算出することを試みた. Wall effect をモデル化することにより単粒径の骨材に対し遷移帯厚さを算出し, 遷移帯細孔量の実験結果を利用することにより遷移帯空隙率を算出した. 求めた結果から, 粒度分布のある骨材の遷移帯細孔量を推定した結果, 実験結果をほぼ再現しており算出した遷移帯厚さ, 空隙率の値が妥当であることを確認した. さらに, この結果と King's model を用いて硬化体を構成する要素毎の移動係数を算出する手法を確立した. これにより, ペースト部よりも遷移帯の移動係数が大きく, また, 遷移帯部に関しては骨材径が大きくなるほと移動係数が大きな値を示すことがわかった.