土木学会論文集
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2000 巻, 641 号
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  • 高京 澤, 岩城 一郎, 三浦 尚
    2000 年 2000 巻 641 号 p. 1-13
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 高炉スラグ微粉末を混和した高流動コンクリートが材齢初期に凍結してしまった場合を取り上げ, 初期の凍結による品質低下とその後の各種対策の効果について比較検討を行うものである. 実験の結果, 高炉スラグ微粉末を混和した高流動コンクリートは, 初期に凍結を受けたことにより, 圧縮強度, 耐凍害性ともに低下し, 高炉スラグ微粉末を混和しない普通コンクリートに比べて特に耐凍害性が大きく低下することが確認された. また, 初期に凍結を受けた後, 養生中に水分を供給するなどの対策を行うことにより, 圧縮強度, 耐凍害性ともにある程度改善されるが, 凍結を受けないものの品質までは完全に回復しないことが明らかになった.
  • 久下 晴己, 國府 勝郎
    2000 年 2000 巻 641 号 p. 15-28
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    高齢者は, 路面でのすべりにより事故につながることが多いが, 歩道に使用される舗装材料のすべりに関する評価は十分には行われていないのが現状である. 本研究では, 種々の歩道舗装材料を取り上げ, 歩行の力学的条件, 舗装材料の材料特性, 舗装面の湿潤・汚染状態を考慮したすべりに関する検討を行った.
    その結果, 舗装材料の表面幾何形状を評価する方法として, 表面の凹凸を平均傾斜で整理することが望ましいこと, 舗装材料の表面吸水量, 表面幾何形状とすべり抵抗性には強い相関があること, 歩道舗装材料のすべり抵抗性を評価する試験方法として, O-Y・PSMがすぐれていること等が明らかとなった. また, すべり抵抗基準値について考察し, すべりの発生しにくい舗装材料を提案した.
  • 野田 行衛, 大樋 邦夫
    2000 年 2000 巻 641 号 p. 29-37
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    プレストレストコンクリート箱けた橋のウェブに鋼板を用いた場合, 従来のPC箱けたに比較して断面の剛性が大きく低下する. このため, 適切に中間横桁を配置して断面形状を保持する必要がある. 本論文では, 鋼板のウェブを有するコンクリート橋に偏心荷重が作用した場合の断面変形に関する基本式を折板理論に基づいて導いた. また, 導いた式による計算例を示し, 波形鋼板ウェブPC箱けたの場合の簡易計算方法を提案した.
  • 中西 弘光, 武井 真一, 丸山 暉彦, 唐 伯明
    2000 年 2000 巻 641 号 p. 39-52
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    アスファルト舗装の修繕工法の一つに, 既設アスファルト舗装上に薄層コンクリートオーバーレイを行う方法がある. わが国では約20年前に各種の取組みがなされたものの, この段階では一般的工法として普及するには至らなかった. その原因の一つに, 舗装設計手法として確立されなかったことが挙げられる.
    本研究では, まず弾性基礎上の梁の理論を拡張した舗装版応力解析手法について検討する. 次に, 薄層コンクリート層と既設アスファルト舗装層との界面の付着性を考慮した複合体の構造モデルについて検討する. そして, この研究結果を組合せて薄層コンクリートオーバーレイ工法の設計法としての可能性を検証する. そして, 実際に各種条件で試験舗装を行った結果, 理論と実測値との整合性も確認した.
  • 大下 英吉, 濱中 隆, 渡邊 智紀
    2000 年 2000 巻 641 号 p. 53-66
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, クリープ変形として捉えたセメント・コンクリートの自己収縮モデルの詳細な構築を目的として, 著者らが構築した水・コンクリート骨格連成解析手法に自己収縮の影響を考慮したモデルの導入を行った. そして雰囲気圧をパラメータとした自己収縮の測定実験を行い, 実験結果との比較により本モデルの適用性評価を行った. その結果, セメントの種類によっては自己収縮に及ぼす大気圧あるいは雰囲気圧の影響が非常に大きいことが認められた. また, 構築した解析手法の0.5気圧下および0.3気圧下での早強, 普通セメントへの適用性が確認できた. さらに, 現在の自己収縮実測値の問題点を指摘すると共に, 自己収縮に含まれる雰囲気圧によるクリープ特性の影響評価を行った.
  • 林 宏信, 高木 宣章, 児島 孝之
    2000 年 2000 巻 641 号 p. 67-76
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    平成8年度土木学会「コンクリート標準示方書」に規定されているコンクリートの疲労強度式は, コンクリートの設計基準強度が50N/mm2を越える場合については十分なデータがないために, 疲労強度式の適用範囲は50N/mm2以下と制限されている. 本論文は60~80N/mm2の高強度コンクリートの圧縮疲労試験を約200本実施し, コンクリートの圧縮強度, 環境条件および骨材の種類が疲労性状におよぼす影響について報告する. 高強度普通骨材コンクリートの疲労強度は, 普通強度を有する普通骨材コンクリートよりも低下する. また, 高品質な人工軽量骨材を使用した高強度軽量骨材コンクリートは, 従来の軽量骨材コンクリートよりも大きな疲労強度が得られることが明らかとなった.
  • 加藤 佳孝, 魚本 健人
    2000 年 2000 巻 641 号 p. 77-86
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 不均一性の代表的要因である遷移帯に着目し, 配合および材料条件が遷移帯特性 (厚さ, 空隙率) に与える影響に関して定量的評価を行い, ペーストと遷移帯の移動係数を算出することを試みた. Wall effect をモデル化することにより単粒径の骨材に対し遷移帯厚さを算出し, 遷移帯細孔量の実験結果を利用することにより遷移帯空隙率を算出した. 求めた結果から, 粒度分布のある骨材の遷移帯細孔量を推定した結果, 実験結果をほぼ再現しており算出した遷移帯厚さ, 空隙率の値が妥当であることを確認した. さらに, この結果と King's model を用いて硬化体を構成する要素毎の移動係数を算出する手法を確立した. これにより, ペースト部よりも遷移帯の移動係数が大きく, また, 遷移帯部に関しては骨材径が大きくなるほと移動係数が大きな値を示すことがわかった.
  • 津野 和男, 藤田 学, 梅津 健司, 関 博
    2000 年 2000 巻 641 号 p. 87-100
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    既設道路橋単純桁をノージョイント工法により連結し, かつ外ケーブル補強したプレストレストコンクリート連続桁の終局曲げ挙動及び崩壊機構を非線形解析及び静的載荷実験により研究した. その結果, 部材の変形に伴う外ケーブル応力増加による曲げ耐力の向上よりも, 中間支点部の塑性ヒンジ形成に伴うモーメント再分配の方が支配的となって, 桁の耐荷力が向上し, 曲げ破壊に対する安全性が満足される特性を明らかにした. 併せて, 塑性域にある構造系を線形的に再現することのできる割線剛性を用いた解析法を提案した. その手法を用いて, 主桁のひび割れ発生または鋼材の降伏によりもたらされる部材相互の剛比変化や図心軸の移動がプレストレス不静定力の変動に及ぼす影響や, 部材の軸剛性と曲げ剛性の低下が構造系の非線形挙動に及ぼす影響について検討した.
  • 北後 征雄, 芦田 公伸, 菊田 憲弘, 宮川 豊章
    2000 年 2000 巻 641 号 p. 101-115
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, 塩化物イオンと水酸イオンの比率をパラメータとしてコンクリート中の鉄筋腐食の定量化を目的に実験室レベルで試験を行うとともに, 既設構造物がデサリネーション, 再アルカリ化によってどのように改質されるかについて述べ, 処理後5年間の追跡結果について報告するものである. モルタルにおける実験結果から判断して, pH=12以上であって〔Cl〕/〔OH〕が1.0以上であれば, 鋼材は腐食しないものと考えられる. デサリネーション, 再アルカリ化を実施することによって, 実構造物の鉄筋周辺におけるpH値は12.6~13.2に改質され, 可溶性塩分も0.47~0.56kg/m3に減少した.処理後60ヶ月でも含有塩分量にはほとんど変化は認められず, 鉄筋の背面における顕著なシャドースポットは認められない.
  • 福手 勤, 守分 敦郎, 鈴木 康範, 秋葉 泰男, 堀口 浩司
    2000 年 2000 巻 641 号 p. 117-132
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 水和熱による温度履歴を受けるマスコンクリートの力学特性および耐久性について検討を行ったものである. すなわち, モルタルおよびコンクリート供試体に最高温度および温度上昇速度を変化させた温度履歴を与え, 力学特性および耐久性に及ぼす影響について検討を行った. さらに, ブロック供試体により, 自らの水和熱による温度履歴の影響について検討を行った. 検討の結果, 初期に温度履歴を受けることにより長期材齢における強度の増進が小さくなること, 塩化物イオン浸透深さや中性化深さが大きくなることが確認された. これは, 温度履歴の有無によって細孔構造および硬化体組織が異なることが原因の一つであることを確認した.
  • 出雲 淳一
    2000 年 2000 巻 641 号 p. 133-151
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    既存構造物の調査において, PCグラウトの充填不良による劣化事例が報告されており, PCグラウトの性能改善が望まれている. 本研究では, 従来のグラウトに高炉スラグ微粉末と高性能減水剤とを添加した場合のJ14漏斗の流下時間とブリーディング率の予測式を実験結果に基づいて定式化し, さらに導出された予測式によるパラメータ解析を行うことによって, グラウトのブリーディングおよび流下時間に影響を及ぼす要因について検討を行っている. さらに, PCグラウトの性能を改善するために, 流動性を有するノンブリーディングタイプのグラウトの配合方法についても検討を行っている.
  • 呉 智深, 松崎 智優, 福沢 公夫, 神田 建
    2000 年 2000 巻 641 号 p. 153-165
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    筆者らはコンクリート構造物の曲げ耐力の補強効果およびひび割れ抑制効果を向上させることを念頭に置き, 連続繊維シートの緊張接着による補強工法を提唱している. 本研究は既報の無筋コンクリート供試体への補強効果を踏まえて, CFRPシートの緊張によるRC曲げ部材への補強効果を検討することを目的として, 一連の実験検討を実施した. その結果, CFRPシートの緊張によりRC供試体においても曲げ耐力の補強効果およびひび割れ抑制効果が十分あることが明らかになった. また, 供試体の補強前のせん断強度によってCFRPシートの緊張接着による補強効果が大きく影響を受けることを実証した. さらに, 通常のRC梁理論の適用性を検討し, 破壊モードごとに補強梁の曲げ耐力の算定および実験値との比較を行った.
  • 出雲 健司, 佐伯 昇, 大沼 博志
    2000 年 2000 巻 641 号 p. 167-178
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    アラミド繊維シート, カーボン繊維シートとコンクリートの付着挙動ならびに付着強さを解明するために, 最も簡単な一軸引張応力下での実験および非線形有限要素解析を行い, 連続繊維シートとコンクリートの付着強さ式の構築を行っている. 実験のパラメータは, 繊維の種類, コンクリートの強度, シートの付着長と幅を設定し, 供試体の破壊パターンはコンクリートの表面数mmから剥離する破壊が最も付着機能として良好と考え, このパターンを取り扱っている. 実験と解析の結果, 付着強さがコンクリートの強度に依存すること, 付着長はある一定以上に越えると付着強さはそれ以上大きくならず, ある有効付着長が存在すること, 実験の結果より, シート幅はある一定以下なると付着強さに比例せず, 単位幅当たりの付着強さが大きくなることなどを明らかにしている.
  • 川村 満紀, 荒野 憲之, 片蓋 憲治
    2000 年 2000 巻 641 号 p. 179-185
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, NaCl溶液に浸漬したモルタル中のセメントペースト相の微視的構造および生成されるASRゲルの組成を明らかにすることによって, NaCl溶液中における反応性骨材含有モルタルの膨張のメカニズムについて検討することを目的としたものである. NaCl溶液に浸漬したモルタルの膨張が, NaOH溶液中のモルタルの場合より大きいのは, NaCl溶液中のモルタルに生成されるASRゲルのアルカリ量が, NaOH溶液中の場合よりも低いことに起因すると推察した. また, ASRによって生じたひびわれ中にエトリンジャイトとASRゲルの混合物が存在することが確認されたが, エトリンジャイトの形成がモルタルの膨張を増大させたか否かについては明確な結論が得られなかった.
  • 秋山 充良, 松中 亮治, 土井 充, 鈴木 基行
    2000 年 2000 巻 641 号 p. 187-203
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    耐震設計では, 様々な不確定要因を考慮した上で, 設計上想定しない限界状態が生起することを防ぐ必要がある. 本研究では, RC橋脚および場所打ち杭基礎からなる橋梁システムを対象として, 従来確定的に用いられてきた杭基礎-地盤間ばねの不確定性が, 橋脚や杭の地震時応答に与える影響を統計論的立場から検討した. そして, 定量的に評価された各応答値のばらつきをもとに, 場所打ち杭基礎を耐震設計する際に, その設計水平震度をRC橋脚の保有水平耐力に相当する震度に対して, どの程度割増すれば地震時の場所打ち杭基礎の降伏を防ぐことができるのかを, 動的解析と信頼性理論の両面から検討した.
  • 坂本 淳, 大友 健, 新藤 竹文, 松岡 康訓
    2000 年 2000 巻 641 号 p. 205-217
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 地下連続壁を対象とした配合強度80N/mm2以上の高強度・高流動コンクリートの配合を検討し, 地下連続壁を模擬した試験体, および実大規模の地下連続壁への打設実験を行った. その結果, 低熱ボルトランドセメントを主体とした結合材とポリカルボン酸系高性能AE減水剤を使用した配合は硬化時の温度上昇量が小さく, 長期の強度発現性が良好であること, 一般のレディミクストコンクリート工場においても連続的に安定した品質のものが製造可能であり, 通常の連壁コンクリートと同様にトレミー工法による打込みが可能であることを示した. また, コンクリートのスランプフロー経時変化を調べることは有効な側圧管理手法となること, 構造体の強度は打込み時に採取した標準養生供試体とほぼ同等の強度を有したが, その変動係数はやや増加する傾向がみられることを示した.
  • 酒井 博士, 濱田 譲, 林田 充弘, 服部 篤, 宮川 豊章
    2000 年 2000 巻 641 号 p. 219-230
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    連続繊維緊張材のような脆性材料の引張特性は, 金属材料に代表される延性材料に比べてそのばらつきが大きく, かつ供試体の体積, すなわち寸法に依存するといわれているが, このような点に着目した研究はほとんど行われていないのが現状である.
    そこで, 本研究は引張特性の寸法依存性に着目し, 供試体の母材長が引張特性に与える影響について実験的に検討した. 母材長に関するパラメータは, 標準的な引張試験に用いられる長さのものから, 実際にプレストレストコンクリート構造物の緊張材に適用される数十メートルの長さまで数種類を設定し, 引張試験を実施した. その結果, 供試体の母材が長くなるにしたがい, 引張耐力や終局ひずみが小さくなることが判明した.
  • 芦田 公伸, 上田 隆雄, 溝口 茂, 宮川 豊章
    2000 年 2000 巻 641 号 p. 231-240
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    デサリネーションがコンクリートの塩害に対する有望な補修工法として注目されている. デサリネーションでは, コンクリート中の鋼材がカソードとして作用し, しかも, その電位が水素発生電位より卑となるため, 鋼材表面で水素が発生するものと考えられる. そのため, PC鋼材の水素脆化への危惧から, PC構造物への適用が見送られてきた. 本研究では, デサリネーションをPC構造物へ適用する場合, PC鋼材が孔食を有していたり, 過大な緊張力が作用している場合, および, 断続的な通電処理方法を適用した場合において, 水素脆化の原因である拡散性水素のPC鋼材への吸蔵量について検討を行った.
  • 鍵本 広之, 佐藤 道生, 川村 満紀
    2000 年 2000 巻 641 号 p. 241-251
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, アルカリシリカ反応 (以下,「ASR」) により劣化した実在の構造物を対象として, 環境条件の違いがASRの劣化程度に及ぼす影響を明らかにし, 構造物から採取したコンクリートコアを用いて実施した種々の試験にもとづいた将来の劣化進行予測手法を提案したものである. 凍結融解の繰り返しが増加しはじめた年を境にしてASR劣化が急激に進行しはじめたこと, 劣化程度は気温, 湿度あるいは外部から供給される水分などの環境条件によって影響を受けることが明らかとなった. またコアから抽出した細孔溶液中の水酸化アルカリの分析とNBRI法による膨張率測定結果を組合せることにより, ASR劣化した構造物の将来の劣化進行予測が可能であることを示した.
  • 伊藤 睦, 二羽 淳一郎, 田辺 忠顕
    2000 年 2000 巻 641 号 p. 253-262
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    せん断破壊メカニズムを明確に評価することが可能な格子モデルを繰り返し応力場に拡張することにより, 正負交番載荷を受ける鉄筋コンクリート柱部材の塑性変形能を簡易に評価することを試みた. その結果,格子モデル解析により, 繰り返し荷重を受ける帯鉄筋量が異なる6体の鉄筋コンクリート柱試験体の塑性変形能を, 実験値と比較して精度よく評価することが可能であることを確認した. さらにこれに加えて, 終局状態に至るまでの鉄筋コンクリート柱部材の耐荷機構を, 格子モデル構成要素の応力状態に着目することで解析的に評価した.
  • 吉武 勇, 浜田 純夫, 中村 秀明, 永井 泉治
    2000 年 2000 巻 641 号 p. 263-268
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    マスコンクリート構造物の温度ひび割れに対し, その発生予測を高い精度で行うには若材齢コンクリートのクリープ特性の明確化が必要不可欠である. 本研究は, クリープ試験期間におけるコンクリートの水和反応進行の影響を低減する目的から, 低温環境下において異なる配合条件の圧縮・引張クリープ実験を行った. その結果, 水和反応抑制環境下では単位応力あたりの圧縮クリープに比べ引張クリープが大きくなり, 既往の研究結果とは異なる傾向があることが分かった. また, 圧縮・引張クリープの違いから, 両者のクリープ発生機構の相違が伺えた.
  • 吉田 信之, 西 勝
    2000 年 2000 巻 641 号 p. 269-275
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    石炭灰を排煙脱硫石膏とセメントで固形化し粉砕・粒度調整したもの (フライアッシュペレット), 製鋼スラグ, 高炉スラグを混合した複合スラグ路盤材料 (複合スラグBと称する) の復元及び残留変形特性を, 室内繰返し三軸圧縮試験によって調べた. その結果, 1) 複合スラグBの復元変形係数は, 軸差応力の増加とともに減少し一定値に収束し, また平均主応力の増加とともに増加すること, 2) 復元ポアソン比は, 応力比の増加とともに増加すること, 3) 残留軸ひずみは, 繰返し載荷回数とともに増加するが, 特に載荷初期に急増しその後漸増すること等が明らかになった. さらに, 従来の複合スラグよりは劣るものの, 標準的な水硬性粒度調整高炉スラグ (HMS) よりは優れた変形特性であることが示唆されている.
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