抄録
本論文は強い非線形を有する構造系の同定手法を開発するのが目的である. まず, 逐次型線形化法を用いて, 復元力特性に関する情報が全く未知である非線形構造系の応答を線形構造モデルで再現する手法を提案する. さらに, 非線形復元力モデルが Vbrsatile 型復元力モデルで表現される構造系において, これまで困難とされていた累乗パラメータを含むすべてのパラメータを同定する手法を開発する. また, 観測値に異常値が混入した場合を対象として, 異常値の影響を受けないロバストカルマンフィルターを開発し, これを Versatile 型復元力モデルのパラメータ同定に適用する. 観測値としては, 非線形2自由度構造系と非線形8自由度構造系の応答シミュレーション結果にノイズを混入したものを用いた.