抄録
ニールセン型ローゼ桁橋では, 可動支承部での摩擦力を期待できない鉛直たわみ逆対称1次振動においても, 構造対数減衰率でδ=0.07を越える非常に大きな値が報告されている. そこで, 吊材のエネルギー吸収に着目し, ニールセン型ローゼ桁橋の構造減衰特性に及ぼす吊材の影響について解析的な見地から検討を加えた. その結果, 安芸大橋における吊材のロスファクターηcはηc=0.03~0.05程度の値であること, また, 支間長が200mを越えるニールセン型ローゼ桁橋でも,ηc=0.03程度のロスファクターを有する吊材を採用すれば, 鉛直たわみ逆対称1次の構造対数減衰率としてδ=0.08程度の値を期待できるとの知見を提示した.