土木学会論文集
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2000 巻, 651 号
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  • 河野 広隆, 古賀 裕久
    2000 年 2000 巻 651 号 p. 1-10
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    1999年にコンクリート構造物の耐久性問題がクローズアップされたが, この問題の原因のひとつとして, 建設時の検査方法のあり方についても疑問が呈されている. 一方, コンクリート標準示方書をはじめとする規準類の性能規定化が検討され, ここでも新たな検査体系の構築の必要性が議論されている. 本論文では, このような規準類の性能規定化の動きと品質管理・検査体系の見直しが活発化する中で生じている様々な混乱と, それらを招いている問題点の整理を行い, 次に規準類の性能規定化の中でどのような品質管理・検査体系を構築して行ったらよいかについての考察を行い, さらにコンクリート構造物の品質保証や品質管理・検査を合理的に行うための技術開発の方向について検討を行った.
  • 高橋 秀樹, 西田 徳行, 園山 哲夫, 城代 高明
    2000 年 2000 巻 651 号 p. 11-26
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    サンドイッチ合成構造沈埋函の製作工事に, 高流動コンクリートを適用することとなった. 本工事では, 密閉されたサンドイッチ鋼殻内へコンクリートを充填することから, 充填状況や充填後の出来形確認が難しく, 確実なコンクリートの充填と充填検査方法の確立が要求された. そこで, 高流動コンクリートの充填性と充填検査方法を検討するため, サンドイッチ構造の実大モデルによる充填実験と人工空隙を作製した模擬試験体を用いて, 各種非破壊試験による充填検査の性能比較を行った.
    その結果, 高流動コンクリートの充填実験から適用した配合の妥当性を確認し, 充填性を高める打設方法を選定した. また, 充填検査方法として, RI (γ線) 法と打音法を併用する方法を選定した.
  • 河原 荘一郎, 室 達朗
    2000 年 2000 巻 651 号 p. 27-35
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    ダンプトラックやホイールローダのORタイヤは, 転石や岩砕による偶発的なカットが原因で廃棄される割合が大きい. カットをできるだけ抑制し, 完摩に至らせることで, ORタイヤに代表されるゴム製の足回りの寿命は大きく向上する. ここでは, 建設機械用ゴム材の耐カット性を解明することを目的とした. そのため, 新たに製作した試験装置を使用し, 転石や岩砕に見立てた切断刃の刃物角およびゴム厚の条件を組み合わせ, 代表的な耐摩耗性ゴム材からなる試験片に対する静的および動的切断実験を行い, ゴム材の耐カット性を定量的に評価した. さらに, 静的と動的切断の関連性, 耐摩耗性にもバランスのとれたゴム材についても言及した.
  • 上薗 晃, 竹澤 一彦, 塚田 正一, 高橋 邦夫
    2000 年 2000 巻 651 号 p. 37-45
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年, 港湾工事における軟弱浚渫土の有効活用が課題となっている. これらの土砂は高含水比のため, 脱水や固化処理などが必要である. 最近, 従来の固化処理工法と比較して簡易で経済的な工法として, 土砂を空気圧送する過程でセメント等の固化材と混合する管中混合固化処理工法が開発されている. この工法では, これまで数百mの圧送実績しかなかったが, このたび, 伏木富山港の浚渫土砂の陸上固化処理工事において, 長距離圧送 (圧送距離約1km) の有効性などを確認するための試験工事を実施した. 本論文は, 管中混合固化処理工法による長距離圧送試験工事で得られた成果について報告するものである.
  • 請川 誠, 谷口 徹, 元木 実, 中川 浩二
    2000 年 2000 巻 651 号 p. 47-60
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    円形形状とは異なり矩形形状シールドトンネルは覆工に曲げモーメントが大きく発生するため, 覆工体となるセグメントは桁高さが大きくなり, 円形のセグメントと比べてコストアップする傾向にある. 先に, 筆者らは隅角部に生じる大きな曲げモーメントやせん断力に対して, 隅角部を内空に影響のない範囲で円弧状にする (円弧状隅角部) ことの合理性については述べた. 本論文では, 円弧状隅角部の実設計に際しての留意点やこれに伴う経済性等について言及することを含め矩形スチールセグメントに対して, 3つの合理的設計の提案 (形鋼主桁の適用, 円弧状隅角部の採用, 二次覆工の利用) を行った. その上で設計の考え方, 検証実験, 実工事への適用, 及び計測結果等について述べる.
  • 大塚 正博, 塩冶 幸男, 小林 亨, 小泉 淳
    2000 年 2000 巻 651 号 p. 61-79
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    シールドトンネルの漏水は, トンネル本体の劣化ばかりでなく, トンネル周辺地山の劣化も引き起こすことから, 漏水の処理にかかるランニングコストもさることながら, トンネルの耐久性を考える上でも重要な問題となっている. トンネル内への漏水が発生する箇所は, そのほとんどがセグメントの継手部であり, 継手面に貼付するシール材の選定が, トンネルの防水には特に重要である. しかしシール材の材質や形状寸法等の選定は, 従来からの経験や実績に基づき行なわれてきたのが実情であり, 止水設計法と呼ばれるようなものは現状では確立されていない. 本研究は現在もっとも多く使用されている水膨張シール材を対象に各種の止水試験を行い, その結果から密封の原理 (パッキン理論) に基づくシール材の止水設計法を提案するものである.
  • 宮本 征夫
    2000 年 2000 巻 651 号 p. 81-90
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    わが国のPC鉄道橋の歴史は, 1954年に建設された旧国鉄信楽線 (現信楽高原鉄道) 第1大戸川橋梁に始まり, 以来, 線増, 河川改修, 都市内の鉄道立体交差, 新幹線等のプロジェクトにおいて新技術に挑戦した建設がつぎつぎと行われ今日に至っている. 本論文は, 今後ますます重要となってくる構造物の耐久性に着目し, これまでに建設された技術的特色を有するPC鉄道橋のうち, 供用期間が20年以上の28橋梁を選び耐久性を評価したものである. 28橋梁の目視観察結果をもとに, 変状の種類, 進行状態, 補修の有無に基づく健全度ポイントという指標を用いて各橋梁の健全度を評価した. 実橋梁の耐久性指標としての健全度ポイントは, 土木学会の「コンクリート構造物の耐久設計指針 (案)」による評価と概ね一致することが分かった.
  • 室 達朗, 河原 荘一郎, 三林 貴宏
    2000 年 2000 巻 651 号 p. 91-102
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 高リフト厚での締固め作業において車両進行方向の水平方向に加振する水平加振機を搭載した履帯式車両の面荷重による振動転圧効果を評価することである. 自重10.9kNの小型履帯式車両に振動周波数を16~51Hz, 加振力9.8kNの水平加振機を搭載し, まさ土を厚さ約80cmに撒き出した大型土槽で転圧実験を実施した. その結果, 振動周波数16Hzにおいて, 地表面沈下量と深さ方向の土の乾燥密度分布が最大値を示すこと, また乾燥密度は浅層部から中間層において比較的適切な交番せん断応力によるダイレイタンシー効果によって比較的高い値を示し, それ以深では, 急速に減少し深層部において一定値に漸近することが判明した.
  • 三戸 憲二, 今田 徹, 山崎 良一, 野本 寿, 山崎 宏
    2000 年 2000 巻 651 号 p. 103-116
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    筆者らは, 合理的な曲げモーメント伝達機構を有する特殊形状セグメントを考案した. 基礎的研究では, セグメント継手の曲げモーメント伝達機構を理論式で説明するとともに, 継手要素試験で得られたバネ定数を基準に理論式解析モデルで感度解析を行い, その特徴を検証した. 本論文では, 実物大載荷試験を実施し, 特殊形状セグメントの曲げ耐力および曲げ剛性を確認するとともに, セグメント継手の挙動を理論式解析モデルでシミュレートし, その特徴を検証した. その結果, 特殊形状セグメントは, イモ継ぎの状態でも, 千鳥組みされた従来形セグメント設計値と同等以上の曲げ耐力と曲げ剛性を確保できること, 継手の軽構造化が可能なことがわかった.
  • 大幢 勝利, 永田 久雄
    2000 年 2000 巻 651 号 p. 117-128
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 橋梁主塔架設時やゴンドラ作業時に風により発生する揺れ曝露下での作業性や安全性について検討した.「作業性」として直線描き作業あるいは溶接作業限界を,「安全性」として直立姿勢の保持限界を取り上げて実験的に調べた. その結果, 正弦波状の揺れ0.5~2.0Hzの範囲では, 直立姿勢の保持が限界となる加速度は周波数の増加に伴い上昇する傾向が見られた. また, 直線描き作業および溶接作業の限界の加速度と周波数の関係は, 両対数軸上で0.5Hzを中心にV字型の傾向が見られた. これは, 海洋構造物上での作業性を0.063~1.0Hzの範囲で示した国際規格ISO6897とは異なる傾向である.
  • 岡山 義邦, 加藤 英夫, 安立 重昭, 佐々木 晃, 福本 裕哉, 中川 浩二
    2000 年 2000 巻 651 号 p. 129-144
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年各地の港湾工事で用いられている軟泥空気圧送工法は, 土砂処分地の必要容量の低減, 処分地から排出する余水量の低減等のメリットがあり, 土砂処分のコストを大きく引き下げる可能性を持っている. しかしながら現在行われている軟泥空気圧送システムの設計は, 過去の実績・経験に依存する面が多く, 経済性を評価するためにも, 軟泥の流動特性を考慮した合理的なシステム設計手法の確立が求められている. 本論文では軟泥空気圧送システムの評価・設計手法の確立のため, まず現地軟泥の流動特性をベースにした流動状況予測手法を提案した. その上で現地施工データによって流動状況予測手法の検証を行い, その妥当性を確認した.
  • 伊藤 則夫, 白木 渡, 安田 登
    2000 年 2000 巻 651 号 p. 145-156
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    土木構造物を設計し, 建設するにあたって, まず地盤の状態を正しく推定することが必要となる. そのためにボーリングなどの調査が行われ, 調査地点における地盤物性値が求められる. しかし, 経済的理由等から調査地点の数は限定され, 広い建設用地全体から見るとわずかな点の情報が得られるに過ぎない. 結局, 専門家の経験に基づいて点の情報を相互に関連付け, 二次元・三次元空間における地盤物性値の分布を推定することになる.
    本論文では, 地盤物性値の分布推定を空間上の曲面補間問題としてとらえ, 多次元空間に分布する情報の相互関係を明確にする自己組織化特徴マップに曲面補間に適するような改良を加えた新しいアルゴリズムを提案している. そして, これを用いて地盤物性値の空間分布推定を行い, その有効性を示している.
  • 米田 昌弘
    2000 年 2000 巻 651 号 p. 157-162
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    ニールセン型ローゼ桁橋では, 可動支承部での摩擦力を期待できない鉛直たわみ逆対称1次振動においても, 構造対数減衰率でδ=0.07を越える非常に大きな値が報告されている. そこで, 吊材のエネルギー吸収に着目し, ニールセン型ローゼ桁橋の構造減衰特性に及ぼす吊材の影響について解析的な見地から検討を加えた. その結果, 安芸大橋における吊材のロスファクターηcはηc=0.03~0.05程度の値であること, また, 支間長が200mを越えるニールセン型ローゼ桁橋でも,ηc=0.03程度のロスファクターを有する吊材を採用すれば, 鉛直たわみ逆対称1次の構造対数減衰率としてδ=0.08程度の値を期待できるとの知見を提示した.
  • 猪熊 明
    2000 年 2000 巻 651 号 p. 163-168
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    建築分野においては性能規定の考え方が急速に導入されつつあるが, 土木分野においては試行例は出ているものの本格的な検討は始まったばかりである. このため現状では「性能規定」という用語が表わす概念や性能規定化の手順についても人によって異なる. 本論文は, こうした事を背景として土木分野に性能規定の考え方を導入するに当たって必要となる性能規定の概念の整理, 性能規定化の方法等について基礎的な考察をしたものである.
    本研究は, 建設省の「品質管理体系の総合技術開発プロジェクト」の一環として行ったが, 考察の内容は必ずしも建設省としての考え方を表わすものではない.
  • トラン ダンタイ, 室 達朗, 河原 荘一郎, 平川 学
    2000 年 2000 巻 651 号 p. 169-180
    発行日: 2000/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 履帯式車両の履帯形状比が, フレッシュコンクリートなどの軟弱地盤上での旋回走行に与える影響について調べることを目的としている. 本報は, 実験と解析結果より, 軟弱地盤上での履帯式車両の旋回特性として, 沈下量, 有効牽引力, 旋回半径, 旋回モーメントおよび車両傾斜角に履帯形状比が及ぼす影響について示している. その結果, 履帯幅が狭く履帯長が長くなる程旋回モーメントが大きく旋回半径が大きくなることが判明した.
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