抄録
本研究は, 都市直下型の兵庫県南部地震の被害の一つとしてRC橋脚の水平輪切り状ひび割れが観察されたので, これを動機として衝撃的突き上げを受けるRC柱の動的挙動について実験的に基礎的な検討を行ったものである. すなわち, 新たに下方向からの衝撃力を加力できる衝撃振動台を開発し, 高さ100cm, 直径30cmのRC柱を使用した衝撃突き上げ実験を行って, 波動場から振動場への移行状態についてひずみ分布より考察した. 本研究の範囲では, 水平輪切り状ひび割れが衝撃的上下動によって発生する可能性もあることを確認し, その発生メカニズムが, 波動場において生じた損傷を引き金として, その後の全体的応答である振動場における引張ひび割れへと成長したものであることが認められた.