土木学会論文集
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2000 巻, 662 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 土屋 智史, 古家 義信, 金 益賢, 岡村 甫
    2000 年 2000 巻 662 号 p. 1-15
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    多方向入力の影響と材料強度のばらつきが耐震性能に及ぼす影響に着目して, 3次元非線形動的解析手法を用いて, 中層梁を有しないRC鉄道ラーメン高架橋の耐震性能の評価を行った. その際, 柱部材には Fiber モデルを適用し簡略化を行っている. その結果, 構造物の地震時挙動を推定するには多方向入力の影響を直接取り入れることのできる3次元解析が必要不可欠であることを明らかにし, 材料強度として特に鉄筋の降伏強度について注意する必要があることを再確認した. 本解析手法は, 現在の技術力を有効に活用したものであり, 工学的判断を付加することで, 地震被害分析を妥当に行うことができる.
  • 菅俣 匠, 日比野 誠, 大内 雅博, 岡村 甫
    2000 年 2000 巻 662 号 p. 17-27
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    分子構造の異なるポリカルボン酸ポリマーを用いて, 練混ぜ時間を延長した場合における高性能AE減水剤の粒子分散効果の相違およびその要因の明確化を目的に検討を行った. モルタルの相対フロー面積比と相対漏斗速度比の比で表した高性能AE水剤減の粒子分散効果は, 添加量を増やすと直線的に増加するが, 分子構造によっては添加量を増やしてもセメントへのみかけ吸着量は変わらずに, 液相中に残存している量だけが増加するものも認められた. 練混ぜ時間の延長で生じる高性能AE減水剤の粒子分散効果の低下は, 添加量を減少させて得られる残存量の減少に一致するものと, さらに低下するものに区分できた. この現象は, 分子構造によるセメント粒子への吸着速度の相違が一因であることを示した.
  • 大野 俊夫, 魚本 健人
    2000 年 2000 巻 662 号 p. 29-44
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    コンクリートのひび割れ発生時期を予測する研究の一環として, 一軸拘束試験体を用いてコンクリートの収縮によりひび割れを発生させ, 各種の要因がひび割れ発生時期に及ぼす影響, ひび割れ発生点近傍のひずみの挙動, 引張伸び能力や収縮応力強度比のひび割れ発生限界点としての適用性などについて検討し, さらに, 逐次解析を行い実験値と解析値の比較を行った. その結果, コンクリートの収縮ひずみが部材内で均一でないことがひび割れ発生時期をばらつかせる原因であること, ひび割れ発生に影響を与えている範囲から算定した引張伸び能力や, 強度発現条件を考慮した収縮応力強度比は, ひび割れ発生時期を予測する限界点として実用上適用できることなどを示した.
  • 呉 智深, 朝倉 俊弘, 吉澤 弘之, 袁 鴻, 小林 朗, 高橋 徹
    2000 年 2000 巻 662 号 p. 45-58
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究ではコンクリート構造物からコンクリート片が剥落することを防止することを目的として, コンクリート表面に連続繊維シートを貼付けた場合のシートによる剥落防止の効果を確認するために, シートの積層構成, シートの繊維の種類, コンクリートの圧縮強度, シートの貼付長さ等をパラメータとした一連の実験的検討を実施した. また, シートとコンクリートの剥離破壊エネルギーGcを用いた解析的手法を提案し, シートの面外剥離性状及び剥落防止効果を評価した. その結果, 連続繊維シートを2層直交方向に積層した場合に, 押し抜き耐力が1層のみの時に比べ非常に大きくなることが判明した. さらに実験と解析結果を比較した結果, 両者がよく一致することが明らかになった.
  • 渡辺 博志, 河野 広隆
    2000 年 2000 巻 662 号 p. 59-73
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    L型隅角部は, ラーメン構造の柱はり接合部に現れる形式の部材であり, 一般的に曲げモーメントやせん断力の集中しやすい部位である. L型隅角部の終局強度やじん性に関する検討は, これまであまり行われておらず, 設計法も十分確立していないのが現状である. ここでは, 隅角部の配筋方法を変えたL型供試体の載荷試験を行い, 割裂ひび割れ強度および主鉄筋降伏時強度の評価方法を示した. また, 正負交番載荷試験結果に基づき, 荷重の繰り返し作用による強度低下メカニズムについて検討を行った. その結果, 隅角部接合部パネルのせん断変形の増加に伴い, 等価粘性減衰定数が小さくなること, 圧縮ストラットの形成位置の移動および圧縮力負担の低下が隅角部の強度低下に結びついていることを明らかにした.
  • 佐野 清史, 松本 典人, 服部 篤史, 宮川 豊章
    2000 年 2000 巻 662 号 p. 75-89
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    セルロース系増粘剤を用いた高流動コンクリートの耐久性評価をおもな目的として, 増粘剤の添加がセメントペーストの微細構造等に与える影響を調べた. 併せて当該コンクリートの塩化物イオン浸透性や中性化進行性等の物質透過性を実験により調べ, 微細構造の面から検討した. その結果, 増粘剤の添加によって骨材界面に脆弱な遷移帯が見られない微細構造が形成され, 毛細管空隙量が少なくなる等によって, 同一水セメント比の増粘剤を添加しないコンクリートと同等以下の物質透過性を示すことがわかった. また, 細骨材の一部を高炉スラグ微粉末で置換した場合について検討した結果, 耐久性の向上効果が認められた.
  • 柳下 文夫, 田中 仁史, Robert PARK
    2000 年 2000 巻 662 号 p. 91-103
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    インターロッキングスパイラル鉄筋を有する鉄筋コンクリート橋脚の耐震性評価に関する基礎的資料の収集を目的とし, 縮小模型試験体による交番繰り返し載荷実験を行った. 耐荷力, 変形性能, ひび割れ状況等に関する検討を行った結果, インターロッキングスパイラル鉄筋柱は, 中間帯鉄筋を配さずとも安定した変形性能を示し, 優れた耐震性を有することが明らかになった. また, 本実験を通して, CALTRANSの橋梁設計示方書に示される同構造形式に対する構造細目は, その多様な力学的特性の全てを満足させるものではなく, 検討の余地があることが確認された.
  • 吉澤 弘之, 呉 智深, 袁 鴻, 金久保 利之
    2000 年 2000 巻 662 号 p. 105-119
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では連続繊維シートとコンクリートの付着挙動に関して様々な実験を実施し, コンクリートに接着されたシートに引張せん断荷重を負荷した場合に, 最大剥離荷重, およびシートの有効付着長さが, シートの剛性およびシートとコンクリートの剥離破壊エネルギー等により変化することを実験・解析により定量的に示した. また, シートのひずみの計測, 引張端の荷重-変位の計測により, 接着面の局所せん断応力τと相対変位δの関係を求めた. さらに, 理論解と実験結果との比較によりτ-δの関係の同定を試みた. その結果, 連続繊維シートの接着界面の剥離発生および剥離の進展状況は,τ-δの関係として弾性-軟化モデルを用いた場合に, 実験値と解析値が良く一致することを示した.
  • 東 邦和, 廣中 哲也, 梅原 秀哲
    2000 年 2000 巻 662 号 p. 121-134
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    マスコンクリートの温度応力対策として, 水和発熱抑制剤の温度応力低減効果を定量的に論じることの必要性から一連の実験と解析を行った. はじめに壁面試験体を作成して抑制剤の添加量と発熱性状および強度発現性状の関係を明確にして, 三次元FEM解析により温度低減効果と解析精度を検討した. 次に実大の模擬試験体により, 水和発熱抑制剤の温度応力低減効果を実験結果と解析の比較によって確認した. この結果から, 壁厚の異なる壁体に解析を適用して低減効果の大きさを応力度低減率として評価できた. また, 抑制コンクリートを部分打設した場合にも, 全層に添加した場合と同様に評価できることを示した.
  • 原田 耕司, 石川 信隆, 香月 智, 太田 俊昭, 日野 伸一
    2000 年 2000 巻 662 号 p. 135-148
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 都市直下型の兵庫県南部地震の被害の一つとしてRC橋脚の水平輪切り状ひび割れが観察されたので, これを動機として衝撃的突き上げを受けるRC柱の動的挙動について実験的に基礎的な検討を行ったものである. すなわち, 新たに下方向からの衝撃力を加力できる衝撃振動台を開発し, 高さ100cm, 直径30cmのRC柱を使用した衝撃突き上げ実験を行って, 波動場から振動場への移行状態についてひずみ分布より考察した. 本研究の範囲では, 水平輪切り状ひび割れが衝撃的上下動によって発生する可能性もあることを確認し, その発生メカニズムが, 波動場において生じた損傷を引き金として, その後の全体的応答である振動場における引張ひび割れへと成長したものであることが認められた.
  • 原 夏生, 河野 一徳, 篠田 佳男, 横沢 和夫, 町田 篤彦
    2000 年 2000 巻 662 号 p. 149-168
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 急速施工と省力化を目的として開発した, 主鋼材として突起付きH形鋼を使用し, 鋼繊維補強プレキャスト型枠を組み合わせた, 鉄骨コンクリート複合構造橋脚の構造性能に関する研究をとりまとめたものである. すなわち, 本構造形式橋脚の構造性能を検討することを目的として, 鉄骨コンクリート複合構造梁試験体の曲げ, せん断実験および橋脚模型試験体の正負交番載荷実験を実施した. それらの結果, 本構造形式においては, 断面内の平面保持が成立し, 突起付きH形鋼を線材に置き換えた鉄筋コンクリート構造と同様な耐力, 変形の評価が可能であることが判明した. また, 地震時の塑性変形能力について, そのメカニズムを定性的に示すとともに, 実用的な算定法を提案した.
  • 八谷 好高, 高橋 修, 坪川 将丈
    2000 年 2000 巻 662 号 p. 169-183
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では空港アスファルト舗装の非破壊構造評価法として実荷重条件に近いフォーリングウェイトデフレクトメータ (FWD) を用いる方法について研究・開発を行った. この方法は現行構造設計法との整合性を取る形で整備したので, 構造評価結果をオーバーレイ厚設計法と直接結びつけることが可能となっている. 具体的には, たわみ規準に基づく概略評価とひずみ規準に基づく詳細評価の2つにより構成されており, 前者では最大たわみに注目し, 後者ではアスファルトコンクリート層ならびに路床のひずみに注目している. 本研究により開発した非破壊評価法の有効性については, 試験舗装ならびに供用中の空港の舗装における構造調査に適用することにより検証した.
  • 秋山 充良, 松中 亮治, 土井 充, 鈴木 基行
    2000 年 2000 巻 662 号 p. 185-204
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    性能規定に基づく設計体系への移行が求められている. 本研究では, 信頼性理論と構造最適化手法を統合させて, 設定する任意の安全性に対応できる設計フローを構築した. そして, 提案手法を連続ラーメン橋の橋脚躯体と単柱式RC橋脚の耐震設計に適用し, 道路橋示方書により耐震設計した場合との比較検討を行った. その結果, (1) 提案手法は確率論に基づく設計を具現化した有力な手法であり, 従来の規準に比べ, より合理的な設計が可能である, (2) 道路橋示方書により耐震設計された構造物間の保有安全性のばらつきを提案手法に基づき整合させると, 断面諸量の変更が必要になる場合がある, ことなどの結論を得た.
  • 津吉 毅, 石橋 忠良, 小林 将志, 田附 伸一
    2000 年 2000 巻 662 号 p. 205-216
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    阪神淡路大震災以降, 鉄道ラーメン高架橋, ラーメン橋台のRC柱等を対象に耐震補強工事が施工されてきた. その施工方法としては, 鋼板巻き工法が一般的に採用されてきたが, 高架下を店舗や事務所として使用している箇所などでは鋼板巻き工法にかわる簡易に施工できる耐震補強工法の開発が望まれてきた. 著者らは, その一案として鉄筋を柱外周に配置し柱の四隅で定着する工法を考案し, 補強効果を確認するために縮小試験体により正負交番載荷試験を行った. その結果, 柱外周に補強鉄筋を一定量配置することで, 通常の鉄道ラーメン高架橋のRC柱では安定した曲げ破壊性状が得られ, 大きな変形性能が確保できることが確認できた.
  • 赤嶺 文繁, 八谷 好高
    2000 年 2000 巻 662 号 p. 217-222
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    空港エプロンにおいて用いられているプレキャストプレストレストコンクリート (PPC) 版舗装の新形式目地として開発した圧縮ジョイントの荷重伝達機構を明らかにした. この圧縮ジョイントは目地をまたいで設置した緊張材により目地部に圧縮力を与えて2枚のPPC版を接合する構造を有しているので、せん断力と曲げモーメントが伝達される. この機構の3次元FEMによる数値解析モデルとして, 前者についてはせん断ばね, 後者については目地部上縁と緊張材位置に配置した水平ばねを用いた. これらの妥当性ならびにモデルの力学定数について試験舗装に対する載荷試験によって検証した.
  • 内田 昌勝, 大津 政康, 辻 伸幸, 岡本 享久
    2000 年 2000 巻 662 号 p. 223-230
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    鉄筋コンクリート部材の表面に発生したひび割れの深さの非破壊検査, 超音波法が簡易でかつ比較的精度が良いため多く用いられているが, 実際の構造物においては, 推定値が鉄筋の存在やひび割れ界面の状態などによって変化することが知られている. 本研究では, コンクリートの配合条件, 探触子の配置条件が超音波の伝播挙動に及ぼす影響を検討した後, 人工ひび割れを導入したモデル試験体を作製し, 鉄筋の種類や配置条件がひび割れ深さの推定結果に及ぼす影響範囲を定量的に評価した. さらには, ひび割れ界面の状態が推定結果に及ぼす影響を検討するため, 曲げひび割れ幅を変化させて実験した結果, 開口角度 (≒表面ひび割れ幅/深さ) が一定値以上であればひび割れ界面の影響を受けずにひび割れの深さを評価できることが明らかになった.
  • 呉 智深, 牛 赫東
    2000 年 2000 巻 662 号 p. 231-245
    発行日: 2000/11/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    FRPシートや板のような面状補強材による接着補強工法の補強設計手法を確立するためには, 理論的に検討すべき問題が数多く残されている. その中で, 最も基本的問題と思われる接着界面の接着剥離特性が十分把握されたとは言い難い状態にある. 例えば, コンクリート曲げ・せん断ひび割れの根本やFRP端部の応力集中より生じる各種剥離に対する評価・設計手法の構築は期待されている. 本論文では, 梁曲げ理論よりコンクリートひび割れを考慮したFRP―コンクリート接着界面の応力分布の解析式を導き, 数値解析との比較検討を行った. また, 単純付着試験体と曲げ部材のコンクリートひび割れ端部附近の接着界面せん断応力分布の比較検討により, 曲げ部材の初期剥離算定手法を提案した. さらに幾らかのFRPシートより補強されたRC梁の試験結果により初期剥離時の最大せん断応力, 剥離エネルギーを同定した.
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