抄録
河川法の改正等にみられるように, 近年, 土木事業においても自然環境を保全・創出することが求められるようになり, 自然環境に配慮した砂防事業や河川事業が実施されるようになってきた. しかしながら, 実際に出来上がった施設が, 周辺の自然と調和するかどうかの客観的な評価法がほとんどなく, 設計者や施工者などの自然観による主観的な評価で実施されているのが現状である.
本研究では, 自然物の分布様式に見られるフラクタル性を基に, 自然環境の客観的かつ定量的な評価を試みた. その結果, フラクタル特性を基にして, 自然と人工物の区別が定量的にできる可能性を示した. また, 植生分布の変化状況もフラクタル次元と分布面積でより定量的に評価できることが示された.