抄録
既存のコンクリート構造物に対する補修, 補強が注目されている中で, 炭素繊維シートを用いた接着工法が数多く研究され, 適用事例も増加している. 鉄筋コンクリート部材を炭素繊維シートで補強した場合, 補強効果は面接着による付着応力に依存し, その破壊性状は鉄筋コンクリート部材とは異なる性状を示すものと考えられる. 本研究では炭素繊維シートとコンクリートの付着性状を明らかにするとともに, 補強効果に影響を与える因子として特に炭素繊維シートの引張剛性に着目した. さらに, コンクリートに損傷を与えることなく補強後の部材の耐力を高めることができる方法として, 炭素繊維シート接着端部のみを積層する「増し貼り定着」を提案した.