抄録
日本道路公団では, 1995年兵庫県南部地震以降, 地震発生直後に地震情報を集めて効果的な地震時通行規制を行うことを目的とし, 高速道路料金所の管理事務所内に新型地震計を増設し, 現在, 沿線約20kmに1ヶ所の割合で設置されている. しかしながら, この地震計の数は, 高速道路全体の地震動分布を把握するのに充分であるとはいいがたい. そこで本研究では, 常時微動と地震動の水平鉛直スペクトル比 (H/V) が良く似た振幅形状を示すことを利用して, 近傍の地震記録と常時微動観測結果のみから地震動推定を行い, 実測値と比較してその精度を検証した. この方法を利用することで, 高速道路に沿った連続的な地震動分布の推定が可能になると期待される.