土木学会論文集
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水~土連成計算を用いた砂杭拡径による砂地盤の締固めメカニズムの一考察
野田 利弘高稲 敏浩高木 健次野津 光夫
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2001 年 2001 巻 679 号 p. 111-122

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抄録

砂質地盤の液状化対策には,「振動」を使う締固め工法の他,「振動」を与えることなく, 砂杭拡径のみによって地盤を締固める工法が開発され, 現場ではその有効性が確認されている. しかし, 側圧一定三軸圧縮試験での密な砂の吸排水挙動のように, 砂を静かに締固めることは困難であると考えられる. そこで本研究では, 水~土連成有限変形計算により, 砂杭造成過程も考慮しながら比較的締まった砂地盤の円筒拡径による締固めのメカニズムと特性について調べた. その結果, 主に次のメカニズムが明らかになった. (1) 拡径に対し, 拡径近傍の砂要素は有効応力径路が総じて限界状態線下側で上昇し, 負のダイレイタンシーによって締まる. (2) 砂杭およびケーシングパイプが地盤から受ける鉛直上向きの摩擦力は, 段階的な造成により発生が小さく抑えられ, しかもケーシングの引抜きに伴う除荷によって蓄積されない.

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