2001 年 2001 巻 680 号 p. 83-96
岩盤構造物の安定性評価にあたっては, 対象岩盤の力学的特性を現場サイトで的確に把握するために原位置せん断試験が行われる. ある調査地点にて高角度の不連続面が卓越する岩盤を対象に原位置せん断試験を実施した結果, 最大せん断応力時のせん断変位が非常に大きい延性的なせん断挙動を示す特徴が認められた. 本研究では, そのメカニズムを解明してせん断強度の妥当性を評価することを目的に, 不連続体解析法を用いた数値シミュレーションを行った. その結果, 不連続面の変形挙動のみならず基質部の破壊を考慮することでせん断破壊面を模擬することができ, 試験結果と類似した傾向を示すことができた. また, 延性的なせん断挙動は, せん断破壊面直下の岩盤の変形に起因することを明らかにした.