土木学会論文集
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2001 巻, 680 号
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  • 于 月増, 前野 詩朗, 名合 宏之
    2001 年 2001 巻 680 号 p. 1-14
    発行日: 2001/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本文では, 変動水圧による緩い堆積砂層の進行性液状化過程を鉛直1次元砂層モデルを用いて理論的かつ実験的に検討した. 本研究で用いた砂層の弾塑性特性を考慮した数学モデルによる解析結果は, 周期的な変動水圧が作用した場合の初期段階における砂層内の間隙水圧分布特性をよく説明しており, 平均間隙水圧の上昇を伴う進行性液状化過程をほぼ再現しうるものであることが明らかとなった.
  • 飯塚 敦, 平田 昌史, 太田 秀樹
    2001 年 2001 巻 680 号 p. 15-28
    発行日: 2001/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, ジオシンセティックスによる補強効果を定量的に検討することを目的に, モデル実験および有限要素シミュレーションを実施している. 土を円柱形状に締固め, その外周が簀巻き状にジオシンセティックスで覆われている. このような供試体に外力を載荷し, 供試体の変形とジオシンセティックスに作用する力を調べている. 土の締固め度合いを変えた実験を行い, 土の変形と補強効果の関係を調べている. さらに, このような補強材と締固め土の力学的相互作用を模擬できる有限要素解析手法を提案している. ジオシンセティックス補強材に作用する力は, 締固め土のダイレイタンシー変形を拘束することによって生じ, 締固め度合いの違いにより, ジオシンセティックスによる補強効果に差が生じることがわかった.
  • 山崎 剛, 大塚 正博, 日下部 治, 栗原 美津雄, 五十嵐 寛昌
    2001 年 2001 巻 680 号 p. 29-48
    発行日: 2001/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    シールドテールボイド発生による境界条件, 自重に起因した地盤内応力および土の変形特性の再現が可能な遠心模型実験を用いて, 軟弱粘性土における地盤変形メカニズムの解明を試みた. すなわち, 模型実験の再現性を確認し, 実験上の制約から決まるテールボイド量に関する幾何学的縮尺率の差違の影響評価を行った後, 地盤変形, 間隙水圧挙動および覆工作用圧変化を用いて地盤変形メカニズムを究明した. その結果, 軟弱粘性土におけるシールドテールボイド発生以後の地盤変形メカニズムを三段階のフェイズで説明できることを示した.
  • 京谷 孝史, 寺田 賢二郎
    2001 年 2001 巻 680 号 p. 49-64
    発行日: 2001/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    土木工学が対象とするような不均質材料の力学的取り扱いにおいて, 均質化理論に基づくマルチスケール応力変形解析法は一般的で合理的な手段を提供する. 本論文では, 著者らが既に提案している岩盤の均質化手法を念頭において, マルチスケール応力変形解析法の一般的な枠組みを与える. さらに, その一つの応用として, 微視構造における変分不等式に基づいて分布亀裂を含んだ材料の破壊強度特性を評価する方法を提案し, 亀裂を配置した石膏供試体の一面せん断試験との比較を通してその適用性を検証する.
  • 稲森 光洋, 御手洗 良夫, 船曳 伸二, 鶴澤 稔, 瀬崎 満弘, 原田 隆典, 横田 漠
    2001 年 2001 巻 680 号 p. 65-81
    発行日: 2001/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 岩盤分類の要素の一つである「ハンマー打診による判定」の定量的評価を目的としている. 本論文では, 著者らが考案した「応答音圧パルス勾配法」における打診音の発生と伝播を空間的に把握するこ. とを目的として, セメントモルタルやセメントベントナイトモルタル等の材料で人工的に製作した模擬岩石の打診音を分析し, 打診直後のハンマー (鋼球) 周辺の音場での音圧分布の時刻歴変化をビジュアルに捕らえた. その結果, これまで著者らが概念的に示してきた打診音の発生と伝播において, 初期の打診音がマイクロフォンに伝播するまでの経路として1) 鋼球中を通って空気中を伝播してくる音と2) 空気中のみを伝播してくる音の2種類が存在すること等, 打診音の空間分布特性を把握し解釈の妥当性を示す.
  • 生貞 幸治, 溝上 建, 中川 光雄, 蒋 宇静, 江崎 哲郎
    2001 年 2001 巻 680 号 p. 83-96
    発行日: 2001/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    岩盤構造物の安定性評価にあたっては, 対象岩盤の力学的特性を現場サイトで的確に把握するために原位置せん断試験が行われる. ある調査地点にて高角度の不連続面が卓越する岩盤を対象に原位置せん断試験を実施した結果, 最大せん断応力時のせん断変位が非常に大きい延性的なせん断挙動を示す特徴が認められた. 本研究では, そのメカニズムを解明してせん断強度の妥当性を評価することを目的に, 不連続体解析法を用いた数値シミュレーションを行った. その結果, 不連続面の変形挙動のみならず基質部の破壊を考慮することでせん断破壊面を模擬することができ, 試験結果と類似した傾向を示すことができた. また, 延性的なせん断挙動は, せん断破壊面直下の岩盤の変形に起因することを明らかにした.
  • 苔口 聖史, 下川 淳嗣, 高地 潤, 東畑 郁生, 芳川 あ弥
    2001 年 2001 巻 680 号 p. 97-107
    発行日: 2001/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    土構造物が液状化した時に起こる変形を推定するためには, 液状化砂の性質を理解することが重要である. 数多くの模型試験より液状化した砂には, 粘性流体としての速度依存性があるという報告がなされている. しかし液状化砂の応力ひずみ特性を導き出すためには, 要素せん断試験を行う事が必要である. 本研究では, 豊浦標準砂による中空ねじり試験を行い, 液状化した砂の挙動に粘性流体としての速度依存性は見られないことを示した. また, 自重による影響が無視できるスチロール粒子を試料に用いて, 高さ方向に一様な応力場での速度依存性の検証を, 中空ねじり試験機と, 高速大変形せん断が可能である三分割式中実ねじり試験機により実施した. その結果, その摩擦角に速度依存性は見られないことがわかった.
  • 澤田 昌孝, 堀井 秀之, 吉田 秀典
    2001 年 2001 巻 680 号 p. 109-121
    発行日: 2001/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    高温岩体発電における発電システムの設計では, 水圧破砕による貯留層の形成, 貯留層内の水の流れを予測することが不可欠である. 本研究では, 水圧の作用により生ずるジョイントのせん断すべり・開口が水圧破砕における岩盤挙動の支配的メカニズムと仮定し, マイクロメカニクスに基づく岩盤の連続体モデル (MBCモデル) による水圧破砕解析法を用い, 1992年に山形県肘折実験場で行われた大規模水圧破砕試験の解析を行う. また, 水圧破砕の解析結果を利用した循環解析の方法を検討するにあたり, 循環試験中のジョイント開口幅と水圧の関係を仮定し, 1995年に同じく肘折実験場で行われた循環試験の解析を行う. さらに種々の循環条件で解析を行うことにより, 発電システム設計のプロトタイプを提案する.
  • 芦田 讓, 松岡 俊文, 楠見 晴重
    2001 年 2001 巻 680 号 p. 123-129
    発行日: 2001/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 3成分受振による弾性波を用いた, トンネル切羽前方の等走時面によるイメージング技術を提案する. 切羽前方の地層境界からの反射波を3成分受振器で受振し, 等走時面を用いたイメージングの際に波の到来方向に応じた重み付けを行うことで, 偽像の発生を防ぎ切羽前方の地山状況を高精度で再構成することが可能となる. 本手法を, 実際のトンネル掘削現場におけるデータに適用したところ, トンネル掘削後の壁面観察結果と整合性のある結果が得られた.
  • 渡邊 康夫, 海野 隆哉
    2001 年 2001 巻 680 号 p. 131-139
    発行日: 2001/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    大泡混合軽量土 (以下軽量土) の強度・変形特性に関する既往の研究では, 盛土工事等で使用される空気量50%程度の軽量土の不飽和状態での特徴が不明であるため, 軽量土の骨格を構成する改良土の一軸圧縮強さと空気量を変化させた軽量土を不飽和状態で一軸圧縮試験・三軸圧縮試験等を行った. 軽量土の強度特性などについて以下のような結果が得られた. 1) 軽量土の一軸圧縮強さは, 軽量土の骨格を構成する改良土の一軸圧縮強さ及び空大量によって決定される. 2) 三軸圧縮試験における試験体の破壊形態は, せん断破壊, 圧縮破壊, 及びその中間的な破壊に分けられ, 圧縮破壊及び中間的な破壊の場合, 拘束圧の増加により破壊強度は低下することを示した.
  • 塩月 隆久, 孫 建生, 古川 浩平
    2001 年 2001 巻 680 号 p. 141-153
    発行日: 2001/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    斜面上の浮き石, 岩盤斜面等の崩落事故が発生していることから, 浮き石の根入れ寸法, 岩盤内部のすべり面深さ等の調査が必要とされている. しかし, これらは地中であることからその調査は容易でないのが現状である. 筆者らは高周波数成分を用いた衝撃弾性波探査法を用い, 転石の根入れ長さ探査について検証実験を試みた. この探査システムは, トリガーにハンマーによる打撃を, 受振センサは共振型圧電センサを用い, 高周波数成分の反射波を得る. このシステムにより高い指向性と表面波の減衰が得られ転石根入れ部からの反射波を明確に得ることができる. 本研究はこれらの特徴, 探査方法及び探査精度について述べるものである.
  • 神田 政幸, 岡本 道孝, 竹村 次朗, 日下部 治, 本城 勇介
    2001 年 2001 巻 680 号 p. 155-167
    発行日: 2001/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は砂地盤中の単杭の水平抵抗を調べるため, 遠心模型実験装置を用いて豊浦砂中の模型鋼管杭の杭頭水平載荷実験を実施した. 載荷実験に先立ち, 模型杭の曲げ破壊試験を行い, 模型杭の曲げ変形特性を評価した. 杭頭水平載荷実験では地盤の相対密度Dr, 杭径D, 杭剛性EIを変化させ, これらが単杭の杭頭水平荷重―水平変位関係 (P0-Y0関係) と曲げモーメント分布に与える影響を調べている.
  • 大林 淳, 佐々木 康
    2001 年 2001 巻 680 号 p. 169-182
    発行日: 2001/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    基礎地盤の液状化による直接基礎構造物の変形メカニズムを解明することは, 地震時の構造物の定量的な変形予測や対策手法の開発に不可欠な課題である. 本論文では小型土槽にゆる詰めの単層の砂地盤を作成し, ハンマーによる一回打撃によって液状化を発生させ, 地盤の体積ひずみ量や地盤内の間隙水圧挙動について調べた. その結果から, ポスト液状化地盤の状態変化に着目して考察し, それを考慮した液状化後の過剰間隙水圧の消散過程を一次元圧密方程式を用いて近似的に表現できる事を示した. さらに, 液状化後の流動的挙動を呈する状態を, 土粒子が懸濁状態にあるボイリング領域と考え, 土粒子の沈降過程からボイリング領域の時間変化を定量的に予測する手法について提案した.
  • 金子 賢治, 寺田 賢二郎, 京谷 孝史, 岸野 佑次
    2001 年 2001 巻 680 号 p. 183-199
    発行日: 2001/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 粒状体の巨視的な境界値問題を解析するための均質化理論に基づくマルチスケール解析法を開発する. まず, 数学的均質化理論に基づく接触・摩擦材料に対する定式化を示し, 巨視スケールの仮想仕事式と微視スケールの変分不等式を導出する. 導出された支配方程式に基づき, 巨視スケールの解法には通常の有限要素法を, 微視問題の解法には粒状要素法を用いる粒状体マルチスケール解析のアルゴリズムを提示する. 完全な微視―巨視連成解析に先立ち, 微視スケールに用いる粒状要素法が与える解の特性について, 適切な粒子数および微視構造に与える材料パラメータについて議論する. また, 開発した粒状体マルチスケール解析法を2軸圧縮試験シミュレーションに適用し, その有用性を検討する.
  • 神宮司 元治, 国松 直, 泉 博允, 望月 智也
    2001 年 2001 巻 680 号 p. 201-209
    発行日: 2001/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    液状化現象を理解する上で, 液状化現象における相対密度変化の観測は, 砂層中の粒子構造の変化を把握するのに極めて有効な手法であると考えられる. 比抵抗を用いた砂層相対密度の計測は, 砂層の相対密度の変化を直接観測することができ, また多点に電極を配置することで, 相対密度分布をイメージとして捉えることが可能である. そこで本研究では, 垂直方向に多数の電極を配置した円筒土槽を用い, 相対密度の可視化手法について検討を行った. その結果, 液状化現象に伴い発生する, 体積収縮が急激に起きる砂層収縮面の存在を確認した.
  • 孫 徳安, 松岡 元, 姚 仰平, 一村 政弘
    2001 年 2001 巻 680 号 p. 211-224
    発行日: 2001/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文はすでに提案しているSMP規準に基づいた変換応力を拡張SMP規準に基づく変換応力に拡張し, これを種々の地盤材料の弾塑性モデルへ適用するものである. 弾塑性モデルの3次元化によく用いられている g (θ) 法の問題点を指摘し, g (θ) と関係づけた変換応力の方法で解決できることを示す. 変換応力の第1次, 第2次不変量を用いて, 3次元応力下での地盤材料のダイレイタンシー特性を統一的に整理し, 地盤材料の簡単で実用的な弾塑性モデルを提案する. モデルパラメータは数が少なく, その物理的意味が明確で決定しやすいものである. このモデルによってφ材料である砂と粗粒材, c-φ材料であるセメント混合砂および締固め粘土の3次元応力下の変形・強度特性を精度よく予測している.
  • 村上 幸利
    2001 年 2001 巻 680 号 p. 225-231
    発行日: 2001/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    グリーンタフ地域内のある限定された区域に分布する泥岩を対象にして, その堆積年代と岩の性質に注目しながら, 泥岩塊を締め固めた後に発生する乾燥・湿潤の繰り返しおよび水浸に伴う圧縮沈下の特性との関係を調べた.
    その結果、泥岩の堆積年代は, 岩の性質を表すスレーキング性と破砕性と深い関係があること, および乾燥・湿潤の繰り返しおよび水浸の過程で見られる泥岩材料の圧縮特性と一定の関係をもつことなどが明らかになった. また, これらの関係は岩の続成作用の力学的効果によってかなり説明できることが分かった.
  • 伊東 周作, 兵動 正幸, 藤井 照久, 山本 陽一, 谷口 聡一
    2001 年 2001 巻 680 号 p. 233-243
    発行日: 2001/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 種々の細粒分含有率からなる室内配合及び不撹乱試料を用いて, 一連の単調及び繰返し試験を行ったものである. まず, 細粒分含有率約15%を境に砂粒子が骨格を成す領域と, 細粒分がマトリックスを構成する領域の識別を行った. さらに細粒分が主体となる領域において, 粘土分含有率15%付近で単調せん断挙動に顕著な違いが認められたので, これらの3つの領域において挙動の分類を行った. 非排水せん断繰返し三軸試験もこれらの領域で顕著な違いが認められ, 砂粒子が骨格を形成する試料では明確な液状化が観察されたのに対し, その他の2つの領域の試料は有効応力が完全には消失せず延性的な挙動を示した. また, 細粒分が非活性の場合には液状化を起こすことが分かった.
  • 岸田 潔, 津野 究
    2001 年 2001 巻 680 号 p. 245-261
    発行日: 2001/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    岩盤不連続面の一面せん断挙動は, ラフネスをはじめとする多くのパラメータに支配されるため, その力学的挙動を統一的に把握するのが困難である. 本研究では, 岩盤不連続面のせん断挙動を支配する因子のうち, 垂直拘束圧, 材料強度, 基礎摩擦角, 不連続面の表面形状 (ラフネス) に着目し一面せん断試験を行い, 各種要因がせん断挙動に与える影響を考察した. また, これらの要因を考慮に入れ, せん断挙動が統一的に表現できるモデルを構築し, これを用いて一面せん断試験のシミュレーションを行った. シミュレーション結果と実験結果を比較することで, 本モデルの妥当性を確認することができた. また, 本モデルを用いることにより, せん断に伴うラフネス変化が予測できることを確認した.
  • 金 宰永, 高田 直俊
    2001 年 2001 巻 680 号 p. 263-268
    発行日: 2001/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    飽和粘土を不撹乱試料として地盤中から取り出すと, 土被り圧の解放によって, 内部に発生する負の間隙水圧が等方的な拘束圧として働くが, この圧力は鉛直土被り圧より小さいので試料は鉛直方向に伸び, 水平土被り圧よりも大きいために水平方向に収縮する. 通常の圧密試験は, このように変形した試料を圧密リングにぴったり納めるので, 現位置の応力状態が再現されてない. この論文では現位置の土被り圧相当の圧密荷重を与えて供試体を非排水変形させたとき, 圧密リング内径に等しくなる供試体を用いた圧密試験を現位置の圧密挙動を室内で再現する圧密試験と位置付け, 室内再圧密粘土試料を用いた一連の圧密試験から, この考え方の妥当性を実験的に確かめ, また標準圧密試験結果の位置付けを明らかにした.
  • 福島 伸二, 石黒 和男, 北島 明, 谷 茂, 池田 康博, 酒巻 克之
    2001 年 2001 巻 680 号 p. 269-284
    発行日: 2001/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    ため池に堆積した底泥土は貯水容量の低下や水質悪化の原因となるが, このようなたため池では堤体が老朽化し早急に改修や補強が必要な場合が多い. これまでに著者らは, ため池の底泥土の除去処理と堤体の改修や補強を同時に行うために, 底泥土の堤体盛土材への適用性を室内試験により確認してきた, ここでは, これまでの室内試験による成果を実施工レベルで確認するために現場実証試験を実施した結果を報告する. 特に, 初期固化土解砕時における解砕粒径が強度や透水性に及ぼす影響があり, 盛土材の用途に応じて適切な解砕粒径を選択する必要があること, 盛土造成時にはトラフィカビリティーの確保が重要であることが明らかになった.
  • 小西 尚俊, 塚田 幸広
    2001 年 2001 巻 680 号 p. 285-294
    発行日: 2001/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 広域地質調査の重要性および比抵抗測定の地質工学上の意義に触れ, 空中電磁法による広域調査事例 (2例) とその検証結果について述べる. 既往地質調査結果やボーリング結果との対比により, 道路斜面および河川堤防についての2つの調査事例について検証した結果, 空中電磁法は広域地質を概略的に把握する上で十分な水平方向および深度方向の分解能を有していることが確認された. 地質精査をする前に空中電磁法による広域調査を実施して事前に異常の有無や比抵抗分布から推定される地質分布を把握できれば, 以後の調査のポイントの絞り込みが容易になり, 調査精度・能率の大幅な向上ひいてはコスト削減につながることが期待できる.
  • 前川 晴義, 宮北 啓
    2001 年 2001 巻 680 号 p. 295-300
    発行日: 2001/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    珪藻泥岩の乾湿繰返しの湿潤時に起こる強度低下と“吸水膨張”の関係を調べるために, ここでは所定の条件で乾燥させた供試体を三軸セルにセットし, 膨張を抑制する目的で拘束圧 (側圧) を与えて湿潤状態に戻した後, 圧縮試験を実施した. その結果, 水浸によって湿潤状態にした場合とほぼ同等な強度低下が確認できた. つまり, 湿潤時の強度低下は, 膨張の有無に関係なく起こり, その低下量は乾燥過程における乾燥の程度に依存することが明らかになった.
  • 山崎 剛, 大塚 正博, 日下部 治
    2001 年 2001 巻 680 号 p. 301-305
    発行日: 2001/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    軟弱粘性土中のシールド建設時における現場計測とそれに対応した遠心模型実験結果により導かれた地盤変形メカニズムの一般性を, 同種地盤における既往5現場計測結果から得られた鉛直ひずみの空間分布形状により検討した. 鉛直ひずみの空間分布形状は, テールボイド沈下区間と後続沈下区間のそれぞれについて, 5現場共に同様な傾向が見られた.
    その結果, 提示した地盤変形メカニズムで, 5現場で用いられたシールド工法, 裏込め注入方式などの施工条件に関らず, 現場計測より把握できた地盤変形形状の特徴について説明が可能であることを確認した.
  • 武内 邦文, 芥川 真一, 桜井 春輔
    2001 年 2001 巻 680 号 p. 307-312
    発行日: 2001/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    岩盤構造物の安定性を定量的に評価する指標として, 筆者の一人により提案された限界ひずみは, 現在, トンネルや地下空洞等で幅広く利用されている. しかし, この指標の岩石から岩盤への拡張性や高拘束圧下への適用性については未確認な点も存在する. そこで, 本研究では, 岩石および岩盤材料の破壊基準として多くの実積を有する Hoek & Brown の破壊条件を利用して, 比較的簡単に岩石および岩盤のひずみ基準値を推定する手法を提案し, 各種試験結果と比較することにより, その特徴について考察した. その結果, この基準値は, 岩石の場合には Mohr & Coulomb の破壊条件よりも高拘束圧までの適用性に優れていることや, 岩盤のひずみ基準値は一軸の場合には岩石とほぼ同じであるが, 三軸圧縮状態では岩盤の方がかなり大きくなる可能性があることがわかった.
  • 前原 博, 小野 勇, 山田 清臣, 菊田 征勇, 松浦 聖, 岡田 勝也
    2001 年 2001 巻 680 号 p. 313-315
    発行日: 2001/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
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