2001 年 2001 巻 682 号 p. 359-371
兵庫県南部地震により被災した鋼橋の復旧作業の際, 軽微な損傷を受けた鋼部材は再利用された. 再利用された鋼部材の中には, 地震荷重による繰返しの塑性ひずみが導入されている可能性がある. この繰返しの塑性ひずみは, その後の通常の自動車荷重の繰返しに対する高サイクル疲労強度を低下させる恐れがある. 本研究は, 繰返しの塑性ひずみを低サイクル疲労と考え, この低サイクル疲労による損傷が高サイクル疲労強度に与える影響を調べる. 応力集中を有する丸棒試験片を用いて, 最初低サイクル疲労により試験片を損傷させ, その後高サイクル疲労試験を行う. 得られた疲労試験結果に基づいて, 繰返しの塑性ひずみを受けた鋼材のS-N関係を定式化する.