抄録
本研究は, 波の回折と砕波を考慮したエネルギー平衡方程式を基にして, 高次精度の風上差分を用いた多方向不規則波の変形計算モデルを提案したものである. QUICK差分により数値拡散を減少させた上で, 放物型波動方程式をもとに定式化した回折項により波の回折効果を導入した. この波浪変形計算モデルを用いて開口防波堤背後の波浪変形計算を行い, Sommerfeld の理論解, 従来の1次精度風上差分による計算結果と比較・検討し, 本波浪変形モデルの有効性を確かめた. また, 球面浅瀬による多方向不規則波の変形を調べた Chawla ら (1998) の実験結果と本計算モデルによる計算結果を比較し, その妥当性を確かめた.