土木学会論文集
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2001 巻, 684 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
  • 鬼束 幸樹, 禰津 家久, 藤田 正樹
    2001 年 2001 巻 684 号 p. 1-9
    発行日: 2001/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    流下方向に水深が増加する2次元開水路減速流の流速分布および乱れ諸量をLDAによって計測した. その結果, 対数則における積分定数は圧力勾配によって等流のものと比べ変化するが, Karman 定数は圧力勾配の影響を受けない普遍定数であることが明らかとなった. また, 粘性底層における流下方向乱れ強度分布は等流のものと同様に直線分布を示すが, その勾配が増加することや buffer 層における流速分布が van Driest 型のダンピング関数を用いれば表記でき, ダンピング係数は圧力勾配の関数であることなどが明らかとなった. さらに, 開水路減速流と開水路加速流との水理特性量の相違を明らかにした.
  • 禰津 家久, 鬼束 幸樹, 高橋 俊介
    2001 年 2001 巻 684 号 p. 11-20
    発行日: 2001/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    開水路凹部 (わんど) 流れにおいては凹部と主流との境界部付近にせん断不安定性によって大規模な渦が発生するが, 凹部のアスペクト比が変化することによって凹部内に発生する渦の規模や挙動が異なる. 本研究においては, アスペクト比 (凹部の流下方向長さ/凹部の奥行き) を3, 5, 10と変化させた凹部 (わんど) 付近の流れをレーザー流速計 (LDA) を用いて乱流計測すると共に, 超音波波高計を用いて水面変動も同時に計測した. その結果, アスペクト比が5の場合は主流と凹部内との間の質量交換率が小さいが, 運動量交換率が最も大きくなること, また, アスペクト比が10の場合には側壁と再付着が生じており, その距離は凹部の奥行きの約5倍であることなどが明らかにされた.
  • 長田 信寿, 細田 尚, 村本 嘉雄, 中藤 達昭
    2001 年 2001 巻 684 号 p. 21-34
    発行日: 2001/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 流れ及び河床形状の空間的変化が著しい非越流・不透過型水制周辺の局所洗掘過程を表現し得る3次元数値解析モデルの構築を行った. 流れの計算においては, 時間的に変化する河床面及び水面が存在する場で有効な手法と考えられる移動一般座標系を用いて基礎式を記述し, また, 乱流モデルとしては非線形k-εモデルを用いた. 河床変動計算では, 水制周辺で流れ及び局所河床勾配の空間変化が著しいことに起因して流砂の非平衡現象が卓越すると考えられるため, 砂粒の離脱・堆積に関する確率モデルと砂粒の運動方程式を用いた砂粒の移動計算を組み合わせることにより, 流砂の非平衡現象を表しうるモデルを構築した. 本数値解析手法を, 既往の室内実験に適用し, 実験結果との比較によって, モデルの妥当性及び有用性を示した.
  • 後藤 孝臣, 北村 忠紀, 辻本 哲郎
    2001 年 2001 巻 684 号 p. 35-46
    発行日: 2001/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    堰の撤去や河川改修といった境界条件の変化によって河床は大きく変化する. 本研究では, 側岸侵食と河床低下が同時に生じる場合の直線砂礫河道の変化過程を, 水理実験と平面2次元の河床変動解析を用いて検討したものである. 水理実験の結果, 河床低下が流路拡幅に大きく影響されることがわかった. またこのような河床低下過程は, 流路拡幅の効果を取り込むことにより, 従来から用いられている拡散型の河床変動として近似的に取り扱えることを明らかにした. さらに, これらの状況をより詳しく考察するため, 側岸の侵食や崩落に伴う砂礫河岸拡幅過程を再現できる平面2次元河床変動解析モデルを構築した. このモデルによる計算結果と実験結果との適合性は良好であった.
  • 辻原 治, 辻田 徳雄, 澤田 勉
    2001 年 2001 巻 684 号 p. 47-56
    発行日: 2001/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    津波伝播時間解析に最短経路探索を導入した方法をとり入れ, また, いくつかの点への津波初動到達時間を既知として, 楕円形波源の同定問題を定式化し, 数理計画法を用いて解く方法を提示した. そして, 数値計算を行い, また過去の地震津波の波源域同定に提案した方法を適用し, 逆伝播図を利用して推定された結果と比較した.
  • 間瀬 肇, 沖 和哉, 高山 知司, 酒井 哲郎
    2001 年 2001 巻 684 号 p. 57-68
    発行日: 2001/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 波の回折と砕波を考慮したエネルギー平衡方程式を基にして, 高次精度の風上差分を用いた多方向不規則波の変形計算モデルを提案したものである. QUICK差分により数値拡散を減少させた上で, 放物型波動方程式をもとに定式化した回折項により波の回折効果を導入した. この波浪変形計算モデルを用いて開口防波堤背後の波浪変形計算を行い, Sommerfeld の理論解, 従来の1次精度風上差分による計算結果と比較・検討し, 本波浪変形モデルの有効性を確かめた. また, 球面浅瀬による多方向不規則波の変形を調べた Chawla ら (1998) の実験結果と本計算モデルによる計算結果を比較し, その妥当性を確かめた.
  • 禰津 家久, 牛島 省, 吉田 圭介
    2001 年 2001 巻 684 号 p. 69-80
    発行日: 2001/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地球環境問題の1つである温暖化の仕組みを解明するには, CO2などの各種気体の地球規模での循環過程の定性的・定量的評価が重要である. その際, 地球上の水域圏における気体輸送過程の評価が必要になる. 特に, 砕波を伴うような風波に関しては計測が困難なこともあり, 既往の研究では充分に現象を評価できていない. よって, 本研究では砕波を伴うような風波の乱流構造をPIVおよびLDAによって計測を行った. その結果, 砕波を伴う流れにおける瞬間構造および時間平均構造を明らかにした.
  • 森田 知志, 中村 孝幸
    2001 年 2001 巻 684 号 p. 81-92
    発行日: 2001/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    断面2次元および3次元任意形状をした海洋構造物まわりの動水圧の評価法を, 水底での圧力波の部分反射特性を考慮した Green 関数によるわきだし分布法に基づき明らかにした. 圧縮性流体場での境界値問題の設定や新たに導出した Green 関数およびその計算手順などについて示した後, 直立壁や円柱構造物に対する解析解との算定結果に関する比較から評価法の妥当性を検証すると共に, 諸条件による動水圧の変動特性についての検討を加えた. 海洋構造物に作用する動水圧やその合力は, 構造物の規模・形状や水深条件に加えて, 水の圧縮性の影響が顕著となる大水深条件下では, 振動の周波数や水底地盤の物性によって大きく変動することなどが明らかとなった.
  • 日向 博文, 灘岡 和夫, 八木 宏, 田渕 広嗣, 吉岡 健
    2001 年 2001 巻 684 号 p. 93-111
    発行日: 2001/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    1998年8月から1998年10月にかけて東京湾のほぼ全域で現地観測を行い, 黒潮変動に伴う沖合暖水波及時における東京湾内の流動および海洋構造を明らかにすることを試みた. その結果, 黒潮の変動に伴って沖合から湾口部へ波及した高温・高塩分・低濁度の沿岸水は, 密度流として湾内中層に貫入するとともに, 湾内地形と地球自転の効果によって複雑な経路を辿りながら湾内へ侵入し, 反対に, 高温・低塩分・高濁度の湾内表層水と低温・高濁度の湾内底層水がそれぞれ表層と底層から外洋へ流出することが明らかとなった. 一方, 暖水の波及しない平常時には上下2層のエスチャリー循環が卓越するが, この平常時に較べて暖水波及時には, 上記の3層流動構造によって湾内の濁質が効果的に湾外へ排出されることが示された.
  • 赤堀 良介, 清水 康行
    2001 年 2001 巻 684 号 p. 113-125
    発行日: 2001/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    成層化水域で観察される密度流現象は非常に複雑な流れを帯びており, その理解の方法として数値計算が重要な役割を担う. 本研究では地形の影響を考慮するために, 境界適合座標上における3次元数値計算モデルを構築し, 実験との比較によるモデルの有効性の確認, および青潮を発生させる水理機構的要因である吹送密度流現象の再現計算を行った. 実験との比較には成層化水域への密度フロントの進入を模した条件を計算対象とし, 吹送密度流現象の再現には網走湖で青潮が観察された当時の状況をモデルとした実験室規模の水域を対象とした. その結果, 本数値計算モデルが詳細かつ良好な再現性を有し, また吹送密度流における上層水の下層水連行に関する水理機構を把握することが可能であることが示された.
  • 米山 望, 井上 素行
    2001 年 2001 巻 684 号 p. 127-140
    発行日: 2001/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    揚水発電所貯水池特有の三次元乱流や水温・濁質濃度による密度変化と流れの相互作用, 大幅な水位変動を考慮した水温・濁質挙動の高精度予測手法を開発した. 本手法の特徴は, (1) 水温・濁質の移流拡散による貯水池水の密度変化を考慮した三次元乱流解析手法を用いていること (2) 貯水池内の密度成層度と乱流量を考慮して求めた渦動粘性係数を水温・濁質の拡散に反映させることで, 密度成層の破壊及び形成過程を解析できること (3) VOF法を用いて揚水発電所貯水池の水面挙動を解析していることである.
    揚水発電所貯水池での流動, 水温・濁質濃度分布の現地測定結果および同貯水池の水理模型実験による水温・濁質濃度分布の測定結果と本手法による解析結果を比較したところ, 本手法の妥当性が確認された.
  • 中山 昭彦, 横嶋 哲
    2001 年 2001 巻 684 号 p. 141-153
    発行日: 2001/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年提唱・改良されている低レイノルズ数2方程式乱流モデルを実用的2次元開水路乱流に適用する場合の汎用性, 実用性を調べるため, 段落ち流れと, 水路床凹部の流れについて, 幾つかのモデルを用いた計算を行い, 考察を行った. これらの流れの計算結果では, モデル開発でまず調べられる平坦開水路流の予測性能とは異なった結果が見られ, 乱流モデルの汎用性検証には, 単純な流れのみならず, 剥離再付着や, 衝突など特性の大きく異なる流れ, またレイノルズ数の影響についても検証されなければならないことを意味する. 低レイノルズ数k-ωモデルは, 壁面近傍の挙動にこだわらないが, 加速, 減速, またレイノルズ数効果などを総合的に反映しており, 計算量や, 数値安定性の面からも実用性があることが分かった.
  • 辻原 治, 辻田 徳雄, 澤田 勉
    2001 年 2001 巻 684 号 p. 155-160
    発行日: 2001/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 津波の第一波到達時間を求める問題を, 与えられた海底地形に対する最短経路探索問題として簡便に解くことを提案し, 数値計算によりその可能性を検討した. その結果, 水深が与えられる点が等間隔に配置されている場合, それぞれの点からの波向線を適切に設定することにより, 解析の精度が大きく向上することが解った. また, 計算格子と精度の定量的な関係を明らかにした. さらに, 津波の回折や屈折の現象を提案した方法で表現できることを示した.
  • 勝井 秀博, 村本 嘉雄, Munsur RAHMAN
    2001 年 2001 巻 684 号 p. 161-164
    発行日: 2001/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
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