抄録
分流式下水道排水区において連続降雨を対象としたノンポイント汚染源負荷の流出調査を行い, 分布型モデルによる汚濁負荷流出解析における地表面堆積負荷流出モデルの検討を行った. まず, Sartor らの提案したモデルを適用して, 屋根と道路を一括して不浸透面として捉えた解析を行ったところ, SS負荷流出の急激な変化を再現できなかった. そこで, 屋根と道路の堆積負荷は異なる流出パターンを示すと推定しそれぞれの雨水流出量を考慮して, さらに道路からの汚濁負荷流出の遅れを表すために, 限界掃流量の概念を追加した改良モデルによる検討を行った. この結果, 総降雨量が1.4~11.3mmと異なる3つの降雨において, ファーストフラッシュ現象を含むSS負荷流出量の時間的変化を適切に表すことができることを示し, ノンポイント汚染源負荷の流出解析における地表面堆積負荷流出特性の重要性を明らかにした.