2001 年 2001 巻 687 号 p. 181-200
本論文は, ある河岸段丘地域における急峻な崖や谷部を切・盛土して工業用地を造成する工事で生じた盛土高さ約H=90mの超高盛土の造成事例を扱ったものである. 盛土材は段丘面を厚く覆う関東ロームとその下層の主に礫岩からなる礫質土であり, 超高盛土部はこれらのうち比較的良質な礫質土のみで造成し, その背面の工業用地部は関東ロームにより造成した. ここでは, 超高盛土部に使用した礫質盛七材の圧縮沈下・強度特性試験の結果, 施工中に実施した超高盛土部の変形計測結果と, これと室内試験結果とを関連させた盛土の安定性評価について報告する. 特に超高盛土部の変位測定では横断面内の鉛直および水平方向のひずみに加えて, 中間主応力方向に相当する盛土軸方向の3方向のひずみを測定し, この盛土は軸方向変位が非常に小さくほぼ平面ひずみ状態にあることを確認した.