土木学会論文集
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2001 巻, 687 号
選択された号の論文の23件中1~23を表示しています
  • 山田 道男, 赤石 勝, Yannis F. DAFALIAS
    2001 年 2001 巻 687 号 p. 1-8
    発行日: 2001/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    非関連流動則を用いて正規圧密粘土ならびに泥岩の非排水ひずみ軟化挙動に関する弾塑性構成モデルを提案した. 提案した3つの降伏関数でモデルの適用性と限界を検討した. ひずみ軟化挙動の再現計算結果は, 沖積粘土と珪藻質泥岩の非排水三軸圧縮試験結果と比較した. 提案したモデルの1つは, 小さなひずみ軟化挙動を考慮した非排水応力ひずみ関係として適用しうる.
  • 千々松 正和, 谷口 航, 鈴木 英明, 西垣 誠
    2001 年 2001 巻 687 号 p. 9-25
    発行日: 2001/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    高レベル放射性廃棄物の地層処分における廃棄体定置後のニアフィールドでは, 廃棄体からの放熱, 周辺岩盤から人工バリアへの地下水の浸入, 地下水の浸入による緩衝材の膨潤圧の発生等の現象 (熱-水-応力連成現象) が相互に影響することが予想され, このような, 現象を評価することは, ニアフィールド環境の明確化の観点から重要な課題の一つである. 本論では, 熱-水-応力連成モデルを用い, 廃棄体定置後のニアフィールド環境の評価を行なった. その結果, 緩衝材の再冠水時間は岩盤の透水性に比べ, 岩盤内の間隙水圧に大きく依存することが分かった. また, 連成解析により得られる緩衝材内の最高温度は非連成解析 (熱解析) に比べ小さくなることが分かった.
  • 藤倉 裕介, 國生 剛治
    2001 年 2001 巻 687 号 p. 27-36
    発行日: 2001/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    粗粒の礫までを混在するような試料に対応可能な大型の可変水頭型定水位透水試験装置を作製し, 粒度特性の異なる様々な試料に関して室内透水・浸透破壊実験を行った. その結果, 浸透破壊のモードやそれが発生する動水勾配は試料の粒度分布, 相対密度などに大きく影響をうけることを明らかにした. すなわち, 浸透による破壊モードは均等係数Ucが小さい場合には平均粒径の大小に関わらずボイリング破壊に至り, Ucが大きい場合には大粒径の礫分とそれより細粒分との分離が生ずること, そしてUcが大きいほど限界動水勾配は理論値よりはるかに大きくなることが分かった. また, Ucが大きい場合に, 限界動水勾配よりはるかに低い動水勾配で細粒分が内部侵食を起こす粒度分布の条件を確認した.
  • 室 達朗, 土屋 清, 河野 幸一, 若林 優輔
    2001 年 2001 巻 687 号 p. 37-47
    発行日: 2001/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 2自由面をもつモルタル供試体の端面をディスクカッタビットを使用して一定の切削深さで定常掘削する場合の掘削特性, とくに比エネルギーについて実験的に明らかにすることである. ここでは, 種々の切込み幅, 切削深さにおいて3種類の刃先角度を有するカッタビットに作用する接線方向力, 向心方向力および垂直方向力を計測するとともに掘削土量から比エネルギーを算定した. その結果, 単位掘削土量当たりのディスクカッタの回転仕事量で表現される比エネルギーは, 切削深さの増加とともに増加するが刃先角度π/4radにおいて最小値を示し, 切込み幅の増加とともに減少することが判明した.
  • 福島 伸二, 望月 美登志
    2001 年 2001 巻 687 号 p. 49-64
    発行日: 2001/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    神戸市臨海部のポートアイランド, 六甲アイランドは神戸市北西部にある六甲連山を掘削して得られた花崗岩質等の岩塊を含む粒径の大きい粗粒土により埋め立てられた人工島である. これまでこのような粒径の大きい粒子を含む粗粒土は液状化しにくいとされていたが, 兵庫県南部地震によりこれらの人工島内各所で液状化の発生がみられ, 岸壁や港湾施設がかなりの被害を受けた. ここではこれらの粗粒埋立土の液状化特性を調べるために, 両人工島内の液状化箇所から掘削採取したまさ土と神戸層群系混合土の非排水繰返し三軸試験を実施し, 両粗粒埋立土の液状化強度の比較, これらに及ぼす相対密度, 拘束圧の影響を調べた結果を報告するものである.
  • 横山 幸也, 志水 義彦, 石田 毅, 水田 義明
    2001 年 2001 巻 687 号 p. 65-76
    発行日: 2001/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    トンネルライニングの健全度評価を行うとき, 特徴的なクラックの発生形態とライニングの応力状態の関係を把握しておくことが重要である. 筆者らはまず模型実験により, トンネル周辺から与える外力の方向とライニング裏側の空洞の有無をパラメータとしたとき, 空洞を有するモデルではより小さな外力でライニングに破壊が生じることと, ライニングの巨視的な破壊形態は与える外力の方向に無関係にほぼ同じであることを明らかにした. この結果を数値解析でも確認した. 次に, 現場でのライニングの応力測定法として, 壁面ひずみ法と孔壁ひずみ法を合わせてライニングの応力状態を実測し, このときの応力状態とライニング壁面で観察されるクラックの関係から, トンネルライニングの健全性の推定が可能なことを明らかにした.
  • 山本 陽一, 兵動 正幸, 上原 精治, 高橋 直樹
    2001 年 2001 巻 687 号 p. 77-94
    発行日: 2001/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    グラベルドレーンの液状化抑止効果の評価を行うことを目的として, 部分排水条件を様々に変化させた飽和砂の繰返し三軸試験を実施した. まず, 部分排水条件下における飽和砂の繰返しせん断挙動および強度特性について検討を行った. これらの試験結果から得られた知見を基に, 部分排水条件における飽和砂の液状化強度を定義して, その定量化を試みた. この定量化から部分排水繰返し強度を用いたグラベルドレーンの設計法を提案し, 実地盤を想定した試設計を行った. 提案手法は, 既往の指針に基づくFL法により排水効果の評価を行える点に特徴があり, 既往の設計法に較べてより簡便な方法となった. 試計算の結果は提案手法と既往の設計法との整合性を示すものであり, 本提案手法の妥当性が認められた.
  • 佐野 博昭, 山田 幹雄, 奥村 充司, 能澤 真周, 平井 裕二
    2001 年 2001 巻 687 号 p. 95-105
    発行日: 2001/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 空気との接触によって徐々にpHが低下する土, いわゆる「酸性移行を呈する土」のpHの低下速度に及ぼす日数や温度の影響を調べるために, 現場で採取した未だ酸性化していない土を室内で所定の期間保存したところ, pHの推移には保存日数や温度が深く関わっており, 日数が長いほど, また, 温度が高いほどpHが低くなることが明らかとなった. また, pHの推移に及ぼす日数と温度の影響を定量的に評価するために積算温度の概念を導入した結果, 積算温度とpHとの間に直線関係が成立するという新たな知見が得られ, 原位置における追跡調査によりこの手法の有効性を確認した. さらに, 積算温度方式を導入した評価式を用いることによって,「酸性移行を呈する土」の工学的性質を推定することが可能であることが示された.
  • 水野 光一朗, 小泉 淳
    2001 年 2001 巻 687 号 p. 107-123
    発行日: 2001/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文はシールドトンネルの横断方向を対象に, 模型による振動実験を行い, その結果と解析結果とを比較して, トンネルの振動特性, トンネルと地盤との相互作用, トンネルの構造モデルの妥当性などを検討したものである. 模型振動実験は実際のシールドトンネルを基に, セグメント継手およびリング継手を考慮した模型を用い, 構造特性の違いによる挙動に着目して行った. 一方解析には, はり-ばねモデルを用いた応答変位法および2次元FEMによる動的な解析法を用い, これらの解析の結果が振動実験の結果を説明できるかどうかを検討し, 実際のシールドトンネルの耐震設計を行う上での定量的な評価方法についての考察を行った.
  • 鷲見 武富, 八嶋 厚
    2001 年 2001 巻 687 号 p. 125-138
    発行日: 2001/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    不連続性岩盤斜面の安定解析において, 岩盤内に分布する全ての不連続面を解析に取り込むことは困難であり, 解析対象とする不連続面をいかに抽出するかが重要な問題となる. また, 岩盤崩壊には地震力や水圧が大きく関与することが知られており, 岩盤崩壊に関わる不連続面の抽出に際して, これらの要因を考慮することも必要である. 本論文では, こうした問題に対し, 水圧と地震力を考慮できる, 岩盤すべりの可能性がある不連続面を検索するための手法を提案する. この手法では, 極限平衡論に基づく岩盤すべり条件を, 岩盤斜面と不連続面の傾斜方向および不連続面のすべり摩擦角の関係に帰着させている. このため, 斜面形が複雑で解析対象とする岩盤ブロックの大きさや形状が不明確な場合にも適用できる.
  • 重松 宏明, 八嶋 厚, 西尾 宗雄, 坂保 共, 畑中 信吾
    2001 年 2001 巻 687 号 p. 139-154
    発行日: 2001/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    岐阜県奥美濃地方に分布する珪藻土は, その工学的特殊性によって, しばしば難工事を引き起こす. 当該地域による今後の円滑な地域開発もしくは地盤防災のためには, 珪藻土の工学的性質を明確にしておかなければならない. そこで本研究においては, まずブロックサンプリングによって採取した良質な珪藻土試料を用いて, 一連の室内実験を実施し, 珪藻土のスレーキング特性, コンシステンシー特性, 降伏特性, せん断過程における変形・強度・ダイレイタンシー特性および変形・強度の異方性を明らかにした. また, SEM観察によって試料の微細構造を可視化し, 珪藻土の特異性を把握した. さらに, 珪藻土の工学的性質に基づいて, 切取のり面安定化対策を詳細に検討した.
  • 櫻井 英行, 白石 知成
    2001 年 2001 巻 687 号 p. 155-168
    発行日: 2001/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    放射性廃棄物処分場などの地下施設の計画に役立つシステムを目標とし, ボクセル解析法による地下水浸透流解析システムを開発した. 本論文では, 従来の有限要素法による地下水浸透流解析におけるメッシュ作成の問題点を具体的に示すともに, ボクセル法による解析システムではそれらの問題点が解消され, 解析効率が大きく向上することを示す. また, ボクセル解析法の弱点である形状近似の不具合が, 解析精度に及ぼす影響を検討した結果についても報告する.
  • 藤川 智, 福武 毅芳
    2001 年 2001 巻 687 号 p. 169-180
    発行日: 2001/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    1995年兵庫県南部地震時に神戸市ポートアイランドで得られた鉛直アレー観測記録を有効応力解析によりシミュレーションする. 地盤モデルは, 鉛直アレー観測点の敷地を含む未改良域とその近傍の締固め改良域のそれぞれを表した一次元モデルと, 両方の地盤領域を含んだ断面を表した二次元モデルとする. 二次元モデルと一次元モデルの解析結果の比較から, 近傍の改良地盤が地表面観測点の地震応答に影響を与えていることを示す. また, 二次元解析結果を用いて算定される地表面の沈下量は観測値と整合する値を示す.
  • 福島 伸二, 北島 明, 木澤 忠兵衛, 祖父 江昭治, 菅原 直人, 中村 仁之
    2001 年 2001 巻 687 号 p. 181-200
    発行日: 2001/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, ある河岸段丘地域における急峻な崖や谷部を切・盛土して工業用地を造成する工事で生じた盛土高さ約H=90mの超高盛土の造成事例を扱ったものである. 盛土材は段丘面を厚く覆う関東ロームとその下層の主に礫岩からなる礫質土であり, 超高盛土部はこれらのうち比較的良質な礫質土のみで造成し, その背面の工業用地部は関東ロームにより造成した. ここでは, 超高盛土部に使用した礫質盛七材の圧縮沈下・強度特性試験の結果, 施工中に実施した超高盛土部の変形計測結果と, これと室内試験結果とを関連させた盛土の安定性評価について報告する. 特に超高盛土部の変位測定では横断面内の鉛直および水平方向のひずみに加えて, 中間主応力方向に相当する盛土軸方向の3方向のひずみを測定し, この盛土は軸方向変位が非常に小さくほぼ平面ひずみ状態にあることを確認した.
  • 加藤 正司, 吉村 優治, 河井 克之, 寸田 亘
    2001 年 2001 巻 687 号 p. 201-218
    発行日: 2001/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    一定エネルギーで締固めた, さまざまな飽和度のシルト質土供試体を用いて, サクションおよび体積変化を測定した一軸圧縮試験を行った. 得られた応力~ひずみ関係は初期飽和度に依存した傾向を示した. また, 破壊時のサクション応力~サクション関係の実測値は水分特性曲線より得られる予測値に近い傾向を示した. この結果はサクション~粘着力関係を一軸圧縮試験により予測できる可能性を示している. さらに, 破壊時の応力状態は, 破壊時のサクション応力を拘束応力とした場合, Fredlund, Morgenstern & Widger により提案されている不飽和土の破壊規準に従うことが判明した. このことは, 非排水状態で得られる一軸圧縮試験の強度が, 排水試験に基づいて得られた破壊規準に従うことを意味している.
  • 古河 幸雄, 藤田 龍之, 國廣 忠之, 深澤 誠
    2001 年 2001 巻 687 号 p. 219-231
    発行日: 2001/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    土の粒度試験にレーザー回折/散乱式粒度分析装置を用いるため, まず, JIS法とレーザー法で繰返し試験による再現性, 試料分取による試験結果のばらつきを比較した. 試験結果の再現性では, レーザー法はJIS法より優れているが, 結果のばらつきでは両者が同等であることが分かった. また, 分析装置を粒度試験に用いるための設定条件の検討や多種類に及ぶ地盤採取土に対してJIS法と粒度分布の比較を行った. 試験は0.04~0.08%程度の懸濁液濃度で行い, 相対屈折率は1.08の値で解析するのが望ましいこと, JIS法で綿毛化する試料でもレーザー法では影響を受けずに分析が可能であること, 最大粒径が0.250mm以下であればJIS法と比較的近似した粒度分布が得られること, レーザー法の粒度分布は, JIS法より細粒側に現れる場合が多いことなどが分かった.
  • 森 吉昭, 内田 善久, 中野 靖, 吉越 洋, 石黒 健, 太田 秀樹
    2001 年 2001 巻 687 号 p. 233-247
    発行日: 2001/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    大型重機により現場転圧された粗粒材料の高応力下での圧縮性状について検討を加えた. フィルダムロックゾーンの築堤時実測沈下データを整理し, 大型ダムのような高応力下では転圧された粗粒材料が弾塑性的な圧縮変形挙動をとること, 圧縮変形量が粒子サイズ, 粒度分布, 間隙比などの影響を受けて変化することを明らかにした. 実堤体の材料定数を, 供試体の粒子サイズに制約を設けた室内試験結果によって直接評価できないことを指摘し, 現場材料と室内供試体の材料粒度の違いに関する変形パラメータの補正方法を示した後, これを用いてあるロックフィルダムの築堤, 湛水工程を再現した応力変形解析を実施した. 解析結果は実測値と概ね良好な一致を示し, 提案手法の実務レベルでの適用性が確認された.
  • 澁谷 啓, 三田地 利之, 小澤 裕
    2001 年 2001 巻 687 号 p. 249-257
    発行日: 2001/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    豊浦標準砂にセメントを混合攪拌し室内で養生したセメント混合砂試料を用いて, 一軸・三軸圧縮試験を実施した. 一連の実験では, 局所軸ひずみ測定装置 (LDT) を用いて, 広範囲のひずみ (10-6~10-2) および広範囲の拘束圧 (0~2.4MPa) におけるヤング弾性係数と応力~ひずみ関係を測定した. 本論文では, まずセメント混合砂のような弱いセメンテーションを有する地盤材料の変形・強度を正しく測定するための室内圧縮試験方法について検討している. さらに, ヤング弾性係数と圧縮強度との関連および変形・強度特性に及ぼすセメント混合率, 材齢, 有効拘束圧およびその履歴の影響をそれぞれ評価し, セメント系改良砂の変形・強度特性を土粒子間セメンテーションのない砂の挙動との比較において議論している.
  • 武山 正人, 末澤 等, 岩原 廣彦, 井桜 政泰
    2001 年 2001 巻 687 号 p. 259-271
    発行日: 2001/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    橘湾発電所の工業用水タンク基礎は, 直径が85mと大型であり, 同一基礎内において基礎岩盤が一部地表面に露出するとともに全体としては比較的急に傾斜していることから, 岩盤までの深さが大きく異なっている. このため, 直接基礎と杭基礎の複合基礎とした場合は平面的に, また杭基礎のみとした場合にも杭長によってせん断剛性が異なり, 地震時に大きなねじれ振動を起こす懸念がある. そこで, 傾斜基礎岩盤に建設される大型タンク基礎のねじれ振動に注目し, 2次元ならびに3次元での解析により地震時のねじれ安定性および杭体・コンクリートスラブの変形特性等を確認・総合評価し, 傾斜基礎岩盤における大型タンク基礎の設計手法の提案と最適基礎型式の選定を行った.
  • 武山 正人, 末澤 等, 岩原 廣彦, 井桜 政泰
    2001 年 2001 巻 687 号 p. 273-287
    発行日: 2001/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    橘湾発電所の工業用水タンク基礎は, 直径が85mと大型であるとともに, 基礎岩盤が比較的急傾斜であることから, 同一基礎内において岩盤までの深さが大きく異なっている. この様に特殊な地盤においては, 従来用いられている杭の打止め管理式では支持力評価の誤差が大きくなると考えられる. そこで, 施工にあたっては, 一般的に用いられている「動的載荷試験」とともに「急速載荷試験」を行い, 精度の高い打止め管理式を設定し, 鉛直支持力の確認を行った. また, 水平方向については地盤反力係数が載荷速度に依存性があることを考慮し,「ダイナミックジャッキによる静的・動的載荷試験」を行って地震時におけるタンク本体の固有周期付近の値を求め, 地震時の水平地盤反力係数の評価を行った.
  • 秋本 圭一, 服部 進, 大西 有三, 三浦 悟
    2001 年 2001 巻 687 号 p. 289-301
    発行日: 2001/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    トンネル内空形状の計測に, ディジタルカメラを用いた画像計測法を適用した. 画像計測法自体はほぼ完成した技術であるが, トンネルへの適用方法は確立されていない. そこで撮影方法やターゲットの配置に工夫を行い, 実トンネルで実験した. 対象の直径は約7mで, 長さ15mの範囲に対して1m格子に反射ターゲットを貼り, デジタルカメラで撮影した. 同時にトータルステーションで観測した検証点の座標と画像計測の結果とを比較した. その結果, 両者の差の2乗平均は0.548mmであり実用的な精度が確認できた. トンネルへの応用についての実用的な知見および変位計測の可能性についても述べた.
  • 中山 義久, 西田 一彦, 西形 達明, 井上 啓司
    2001 年 2001 巻 687 号 p. 303-308
    発行日: 2001/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    まさ土の液状化強度曲線および液状化に至る変形挙動と供試体内で消費される損失エネルギーの関係をまさ土の物性値である流動限界をもとに調べた. 実験には締固めた供試体と繰返し三軸試験機を用いた. その結果, 圧密後の間隙比と流動限界で液状化時までの累積損失エネルギー量が決まること, および累積損失エネルギー量から液状化強度曲線を推定できることが分かった. さらに, 液状化に至るまでの変形特性についても考察し, 変形係数比の低下は累積損失エネルギー量と双曲線関係にあること, および双曲線の定数と流動限界との関係について示した.
  • 山崎 雅弘, 長岡 弘明, 岡本 隆
    2001 年 2001 巻 687 号 p. 309-314
    発行日: 2001/09/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    場所打ちコンクリート杭の設計に用いる周面摩擦力度は, 杭の載荷実験結果に基づいて設定されている. 粘性土を中間層とする場合, 粘性土の排水条件に関して, 載荷実験の杭と現実の構造物基礎杭とでは次の相異がある. 載荷実験において粘性土は非排水変形に近い変形をするが, 長期荷重が作用する構造物基礎においては, 十分な時間経過後は排水変形する. 排水条件が周面摩擦力性状に大きな影響を与えるか否かを, 有限要素法を用いた数値実験により試行的に検討した. 数値実験結果より, 比較的長い杭において排水条件の相異は周面摩擦力性状に大きく影響する事を示した. 粘性土を中間層とする場合, 排水条件を考慮に入れた周面摩擦力性状の研究が必要である事の問題提起をしている.
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