2001 年 2001 巻 687 号 p. 9-25
高レベル放射性廃棄物の地層処分における廃棄体定置後のニアフィールドでは, 廃棄体からの放熱, 周辺岩盤から人工バリアへの地下水の浸入, 地下水の浸入による緩衝材の膨潤圧の発生等の現象 (熱-水-応力連成現象) が相互に影響することが予想され, このような, 現象を評価することは, ニアフィールド環境の明確化の観点から重要な課題の一つである. 本論では, 熱-水-応力連成モデルを用い, 廃棄体定置後のニアフィールド環境の評価を行なった. その結果, 緩衝材の再冠水時間は岩盤の透水性に比べ, 岩盤内の間隙水圧に大きく依存することが分かった. また, 連成解析により得られる緩衝材内の最高温度は非連成解析 (熱解析) に比べ小さくなることが分かった.