2001 年 2001 巻 693 号 p. 161-171
砂質土地盤における連続地中壁の掘削時に, 溝壁の安定がしばしば問題となっており, 地表面付近の大規模な崩壊とともに, 深部での比較的小規模な崩壊が確認されている. 筆者らは, 掘削時の周辺地盤中の間隙水圧に着目し, 水平多軸式掘削機を用いた連壁施工現場において, 砂質土地盤の間隙水圧の変化を計測した. その結果, 間隙水圧は砂質土層の掘削開始とともに上昇を開始し, 溝内泥水位と地下水位の差の70%程度まで上昇することがわかった. また, 間隙水圧上昇のメカニズムについて, 二次元土/水連成FEM解析を行って推定するとともに, 簡易な局部崩壊の安定計算を行い, 間隙水圧の上昇が溝壁の局部的な安定に及ぼす影響について考察した.