2002 年 2002 巻 696 号 p. 273-283
地震動のような非定常波形の時間周波数特性を規定する手法として Wigner 分布が挙げられる. Wigner 分布は種々の好ましい特性を有するが, 一般には時系列信号への逆変換ができない等, 実用的でない面がある. 本論文では正規直交ウェーブレットの cross-Wigner 分布を用いることにより, 任意の Wigner 分布から波形を合成する手法を提案する. また, 提案した手法を, 周波数特性の変化する強震記録の時間周波数領域上での分離に適用して, その有効性を確認する.