土木学会論文集
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2002 巻, 696 号
選択された号の論文の25件中1~25を表示しています
  • 張 国新, 杉浦 靖人, 長谷川 浩夫, 王 光論
    2002 年 2002 巻 696 号 p. 1-9
    発行日: 2002/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    マニフォールド法は近年開発された数値解析法である. 本論文は, 著者らが発展させた二次マニフォールド法の基本理論を紹介し, 応用例として, 内圧の作用する円環の応力分布, シリンダーとそれを挟む剛性板の接触応力, 片持ち梁の大変形, 節理を有する傾斜面の滑り破壊などの解析を行ったものである. その結果, 二次マニフォールド法は構造物の変形, 接触問題に比較的高い精度を持ち, 特に大変形問題や破壊過程のシミュレーションに有効であることが明らかになった.
  • 橋脚系の非線形地震応答性状
    Jorge SHIMABUKU, 竹宮 宏和
    2002 年 2002 巻 696 号 p. 11-20
    発行日: 2002/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 上部構造と杭と地盤の非線形動的相互作用を扱ったものである. 地震時, 上部構造-杭基礎-地盤系の連成解析から, 各部分の特性が他の応答へ及ぼす効果に注目して応答性状を調べた. その結果, 杭が非線形挙動を示す場合, 杭が上部構造のいろいろな特性の影響を受け, 特に, 杭が非線形挙動を示す可能性の高い強い2次固有モードとなる構造物と, デッキが偏心を持っている構造物でその傾向が強いこと, 逆に杭から橋脚への影響は少ないことが分かった. 橋脚の降伏係数 (自重に対する降伏力) が高い場合, 杭が非線形挙動を示す可能性が大きくなる. 地盤変形による杭体曲げモーメントは, 固い地盤の上に浅く柔らかい地盤がある時の地盤物性値が急変する所でピークになる.
  • 立石 彰, 西岡 隆
    2002 年 2002 巻 696 号 p. 21-29
    発行日: 2002/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    制御時間中にリアルタイムに予測される地震波の入力情報を有効に利用した震動制御則の提案を行った, 本制御則は従来の最適レギュレータ理論を拡張させることによって得られ. 定常フィードバック制御項と入力外乱の予測情報を含んだフィードフォワード制御項で構成される. 1自由度1制御力系モデルでのシミュレーション解析により. 制御則の周波数領域での基本的な特徴について考察を行うとともに, 定常フィードバック制御との制御効率の比較から本手法の有効性を検討する.
  • 山平 喜一郎, 大塚 久哲
    2002 年 2002 巻 696 号 p. 31-43
    発行日: 2002/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    兵庫県南部地震によって大きな被害を受けた都市高架橋の諸元を用いて, 橋梁全体系の非線形地震応答解析を行った. その結果, 支承取付ボルトの引張強度を越える引張軸力が支承に作用することが解った. 続いて, そこで得られた速度, 加速度を用いて支承取付ボルト引張切断後の橋桁と支承の衝突を衝撃解析によりシミュレートした. そこで得られた結果は, 実際の被害状況と類似している. これらの解析結果より, 検討対象の高架橋では, まず, 支承取付ボルトが引張破断し (1次損傷), 橋脚から離れて振動を始めた橋桁が支承や橋脚と衝突して2次損傷が生じたと考えられる. 耐震補強対策としては, 支承セットボルトに支承軸力の変動を十分考慮した耐荷力を持たせることが必要であり, さらに支承の免震化も有効な手段であることを示した.
  • 岸 徳光, 池田 憲二, 小枝 日出夫, 小室 雅人
    2002 年 2002 巻 696 号 p. 45-60
    発行日: 2002/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 鋼製橋脚の合理的な耐震設計法を確立するための基礎資料を得ることを目的として, 応力-ひずみ特性の異なる3種類の鋼材を用いた小型鋼管橋脚模型を製作し, 耐荷力, 変形能およびエネルギー吸収量に与える鋼材の材料特性の影響について実験的に検討を行った. ここでは, 3種類の実験法 (静的単調載荷実験, 静的漸増繰り返し交番載荷実験, 基部加振実験) に基づいて実験を実施し, 降伏比, 降伏棚の有無などが鋼管橋脚の耐震性に与える影響について検討を行った. 実験の結果, 加工硬化を受け降伏棚が消失した鋼材を用いる場合が降伏棚が消失していない鋼材を用いる場合に比較して耐震性に優れていることなどが明らかになった.
  • 香月 智, 黒木 勇人, 石川 信隆, 太田 貞次
    2002 年 2002 巻 696 号 p. 61-76
    発行日: 2002/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 高速載荷を受けるコンクリート充填鋼管はりの動的弾塑性挙動を明らかにするために, 次の3段階の実験・解析を行ったものである. まず, 第1段階として鋼管内充填コンクリートの高速載荷実験を行い, 応力~ひずみ関係に及ぼす鋼管の拘束効果およびひずみ速度効果を調べ, その応力~ひずみ関係を Popovics 式によって推定する方法を提案した. 次に第2段階として, コンクリート充填鋼管はりの高速載荷実験を行い, その曲げ耐力~変位関係や終局限界変位に及ぼす載荷速度の影響について検討した. 最後に第3段階として, 断面分割法をベースとして高速載荷を受けるコンクリート充填鋼管はりの動的曲げ応答解析法を開発し, その適用性について検討した.
  • 谷口 朋代, 河野 健二
    2002 年 2002 巻 696 号 p. 77-84
    発行日: 2002/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    波浪伝播方向に長さを有する有脚式海洋構造物の不規則応答解析法について検討した. まず, 節点に作用する波力が, 着目区間に作用する波高の平均値より求められる等価線形化波力と同値であることを示し, 不規則応答量が等価線形化波力のクロススペクトル密度関数に基づいて算定できることを示した. また, 等価線形化波力のクロススペクトル密度関数が, 1次元の海面上昇量のパワースペクトル密度関数と方向関数の積である海面上昇量のクロススペクトル密度関数を用いて表わされるので, 着目区間の方向関数の平均値の積を用いて, 波の広がりによる波力の低減効果を表わす水力アドミッタンスを定義した. 最後に, 水力アドミッタンスが, 長い海洋構造物の不規則応答量と応答倍率に及ぼす影響について検討を加えた.
  • 生出 佳, 池田 清宏, 寺田 賢二郎, 藤井 堅, 岡澤 重信
    2002 年 2002 巻 696 号 p. 85-98
    発行日: 2002/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    構造部材の強度は, 一般に荷重変位曲線上の極大点により支配される場合が多いが, 細長い供試体や部材などでは極大点と分岐点が一致する頂上分岐点が支配的となる. 本研究では, 強度を支配するこれらの特異点の数理構造を漸近的分岐理論により明らかにし, 強度の確率評価法を提案する. 最初に, 頂上分岐点に対して得られる分岐方程式を基礎式として, 初期不整感度則ならびに構造強度の確率密度関数を導出する. さらに, 極大点に対する強度の確率評価式を比較対象として, 特異点の種類による強度分布の違いを明示する. また, 適用例としてトラス構造物, 鋼供試体や鋼部材の実験や解析などから得られる強度を用いて本理論の有用性と妥当性を示す.
  • 渡邉 啓行, 有賀 義明, 曹 増延
    2002 年 2002 巻 696 号 p. 99-110
    発行日: 2002/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    動的解析によりダムの耐震性を評価する場合, 評価結果は, ダムおよび基礎岩盤の地震時変形特性等の設定条件に応じて大きく変動する. 動的解析によりダムの耐震性評価を行うためには, ダムと基礎岩盤の地震時変形特性の定量的評価, 適切な貯水池のモデル化手法等が必要不可欠である. また, 強い地震動を想定した場合は, 地震時変形特性の非線形性を適正に考慮することが必要になる. そこで, 本研究では, まず, 釧路沖地震の際に観測された実地震動に基づき, 三次元動的解析により糠平ダムの実地震時挙動の再現解析を行い, ダムの地震時変形特性を定量的に評価した. そして, 貯水池モデル化の重要性と付加質量法の局限性を指摘し, 地震時のダムと基礎岩盤の変形特性の非線形性を考慮した高レベル地震動に対する耐震性の評価手法について検討した.
  • 藤原 博, 三宅 将
    2002 年 2002 巻 696 号 p. 111-123
    発行日: 2002/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    日本道路公団 (JH) が管理する全国の鋼橋の中から624橋を抽出して行った塗膜調査データの統計分析から, 腐食環境, 鋼橋型式及び部位別の塗膜劣化状態を評価するとともに画像処理によって定量化した塗膜の経年劣化度を, 統計処理的に劣化傾向特性を類似する理論的傾向曲線に近似させ, それを塗膜寿命曲線とする検討を行った. その結果, 塗り替え時期を判断する10~20年程度の実用的な範囲であれば二次曲線によって塗膜寿命予測曲線を表すことが可能であること, マイルド環境, 塩分飛来環境及び高温多湿環境に対する塗膜寿命予測曲線を求めたことにより各環境下における鋼橋塗膜の寿命予測が可能であることを示した.
  • 阿部 雅人, 吉田 純司, 藤野 陽三
    2002 年 2002 巻 696 号 p. 125-144
    発行日: 2002/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    積層ゴム支承は免震デバイスとして広く利用されているものの, その微小振幅載荷および多軸載荷下における復元力特性に関する研究例は極めて少ない. 本研究では, 積層ゴム支承の多軸復元力特性の現象論的モデルを構築している. まず, 積層ゴム支承の3軸載荷実験を行い, 支承の復元力特性を把握した. 次いで水平1方向載荷実験結果を基に Ozdemir の1次元弾塑性モデルを拡張し, ハードニングおよび剛性低下を表現できるようにした水平1方向モデルを提案した. 次に, Ozdemir の3次元弾塑性構成モデルをベースに水平2方向モデルを理論的に導出した. 最後に水平2方向載荷実験結果ならびにハイブリッド実験結果と, 水平2方向モデルによる解析結果とを比較しモデルを検証した.
  • 中藤 誠二, 木村 吉郎, 藤野 陽三, 小川 隆申, 石原 孟
    2002 年 2002 巻 696 号 p. 145-155
    発行日: 2002/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    種々の辺長比の矩形柱から発生する空力音の基本特性を低騒音風洞を用いて実験的に明らかにした. 辺長比は1, 3, 5, 7.5の4種類であり, 風速15m/sと30m/sで測定を行った. 2種類の風速における空力音のスペクトルピークに対応するストローハル数はほぼ等しく, 多くの場合ピーク音圧レベルの増大は風速の6乗則を満たすことを示した. 音圧レベルが最大となる迎角は辺長比B/H=1, 3, 5, 7.5の矩形柱について, それぞれ確α≈2, 0°, 5°, 7°であったが, その音圧レベルの大きさはほぼ近い値となった. 一方, それぞれの辺長比において, 最大音圧レベルの迎角による変化の幅は約20dBであった. またB/H=1の場合について, Curle の式を用いて実験条件の違いを補正することで既往の測定結果との比較を行った.
  • 後藤 芳顯, 奥村 徹, 鈴木 昌哉
    2002 年 2002 巻 696 号 p. 157-172
    発行日: 2002/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    現行の耐震設計において単柱式鋼製橋脚の終局挙動を解析する際には, せん断変形を無視した Bemoulli-Euler はり理論による幾何学的非線形解析が一般的に行われている. ここでは, Bernoulli-Euler はり理論による解析の妥当性, 精度の検討をせん断変形の影響を考慮した Timoshenko はり理論による幾何学的非線形解析と比較することによって行った. Bernoulli-Euler はり理論による解析の精度を支配する2つの構造パラメータを同定し, これらのパラメータにより相対差を評価するための算定式を誘導した. これより, 鋼製橋脚の耐震解析においては, せん断変形の影響が大きく, 背の低い橋脚の耐震設計を行う際にはこの影響を無視できないことがわかった. 一方, 幾何学的非線形性の影響は, 極端に細長比が大きい場合や鉛直荷重が大きい特別の場合を除き, 一般的に無視できる.
  • 長尾 毅
    2002 年 2002 巻 696 号 p. 173-184
    発行日: 2002/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, ケーソン式防波堤の内的安定問題のうち, 終局曲げ安全性照査を信頼性設計法によって行う手法を提案するものである. 波力, 自重, 材料強度などの設計パラメータの従う確率分布を用いて, 全国の防波堤の建設事例をもとに, 信頼性理論により現行設計法による施設の終局曲げ安全性水準を定量的に明らかにした. 次に外的安定問題との比較の観点から目標とする安全性水準を設定し, 信頼性設計法によるコードキャリブレーションを行って設計法を提案した.
  • 秦 康範, 目黒 公郎
    2002 年 2002 巻 696 号 p. 185-195
    発行日: 2002/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地震直後の被災地域の特定と被害量の把握は, 防災関連機関の初動を決定する上で極めて重要である. 本研究は地震前後の電力供給データを用いて, 地域ごとの被害評価を試みるものである. すなわち, 配電用変電所の供給エリアを地域単位として, 地震前の電力需要から地域特性を把握するとともに, 地震後の電力供給量の落ち込み具合から供給エリア内の建物被害を評価する手法を提案し, 両者の関係について分析した. その結果, 地震後の電力供給量の低下は地域の建物被害と高い相関を持つことが確認されるとともに, 提案手法が, リアルタイム評価が可能, 新たな設備投資がほとんど不要, 天候や時刻に左右されない観測が可能, など有利な点を多く有し, 実用に向けて大きな可能性があることが示された.
  • 竹本 憲介, 上林 勝敏, 香月 智, 石川 信隆
    2002 年 2002 巻 696 号 p. 197-213
    発行日: 2002/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 有限要素法 (FEM) モデルと剛体バネモデル (RBSM) とを一体化させたRBSM-FEM混合型要素モデルを提案したうえで, コンクリート供試体の軟化領域を含む静的, 高速の三軸圧縮実験結果のシミュレーション解析を行ったものである. RBSM-FEM混合型モデルは, FEMの4節点四角形要素と同様な自由度を有し, 3組の法線方向バネおよび接線方向バネからなるものであり, 法線方向のバネにはバイリニアの弾塑性モデル, 接線方向バネにはクーロンすべり限界に基づくバイリニア弾塑性モデルを用いた. コンクリート供試体の三軸圧縮実験結果のシミュレーション解析を試み, その局所化現象に支配された軟化現象, 側圧が弾塑性挙動に及ぼす影響および高速載荷実験におけるひずみ速度効果を良く再現できることを示した.
  • 崎元 達郎, 中山 雅文, 川畑 智亮, 渡辺 浩, 江山 栄一
    2002 年 2002 巻 696 号 p. 215-224
    発行日: 2002/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, 面外繰り返し力を受ける逆L形鋼製橋脚の履歴挙動を実験および解析によって検証したものである. 偏心比を0.4に固定し, 断面構成板の幅厚比を変化させた4体の供試体について実験を実施した. 断面は箱型とし, 無補剛断面および補剛断面の各2体とした. 死荷重に相当する鉛直力で許容応力度内におさまる様設計し, 一定死荷重の下, 降伏変位の整数倍を生じる面外力を崩壊まで繰り返し載荷した. 移動硬化則を用いたFEM解析結果と実験の結果を比較した結果, FEM解析は実験での損傷状況を十分に良く捉えることができることが分かった.
  • 長尾 毅, 紺野 克昭
    2002 年 2002 巻 696 号 p. 225-235
    発行日: 2002/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 常時微動アレー観測より得られる基本モードレイリー波の観測位相速度から地盤の平均S波速度を直接推定する方法の適用性を検討したものである. 全国の港湾および空港地域22地点を対象に実施した常時微動アレー観測結果をもとに空間自己相関法を適用して基本モードレイリー波位相速度を求めた. 得られた観測位相速度と波長の関係から表層地盤の平均S波速度を直接推定したうえで, 推定値をPS検層結果と比較することによりその精度について検討するとともに, 常時微動アレー観測の表層地盤構造推定への適用性を検討した.
  • 田村 勇, 山崎 文雄
    2002 年 2002 巻 696 号 p. 237-248
    発行日: 2002/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地盤のS波速度は, 地盤応答解析などに必須のパラメータであるが, PS検層で観測される場合が少なく, N値などの地盤調査データから推定されることが多い. しかし, 既往のS波速度推定式は, 統一的かつ広範なデータに基づくものとはいい難い. 本研究では, K-NET地震計の設置地点1000箇所と横浜市地震計の設置地点150箇所におけるPS検層と標準貫入試験を含むボーリングデータを用いて, N値, 土質分類, 地質年代を説明変数とするS波速度の推定式を多重回帰分析により求めた. また, 深い深度までを含む横浜市データに対する推定式をK-NETのデータに対して適用することにより, この推定式を日本各地へ適用可能であることを確認した.
  • 丸山 喜久, 山崎 文雄, 山之内 宏安
    2002 年 2002 巻 696 号 p. 249-260
    発行日: 2002/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    我が国の高速道路では, 1995年兵庫県南部地震以降, 地震時通行規制の情報を得るための地震計ネットワークを増強している. しかしながら, 高速道路構造物は現在の地震時通行止め基準程度の地震動では被害が発生しないことも近年の研究で明らかとなってきており, 地震時通行規制の緩和の検討が議論されるようになった. しかし, 規制の緩和を行う前には, 地震時に運転者が走行困難に感じて事故を起こす可能性も否定できず, 地震動が車両に与える影響を調べる必要がある. そこで, 本研究では, 6自由度車両モデルを構築し, 道路路面に3成分の地震動を入力して車両の地震応答解析を行い, 地震動の特性が車両の応答にどのような影響を与えるかについてを検討した.
  • 大熊 裕輝, 松岡 昌志, 山崎 文雄, 原田 隆典
    2002 年 2002 巻 696 号 p. 261-272
    発行日: 2002/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    宮崎県では52カ所の強震観測点を利用した地震計ネットワークが整備されており, 地震発生後早期に震度や加速度の値を取得できる. しかし, 地震計は各市町村に1, 2ヶ所に設置されているにすぎず, 県内全域の地震動分布を詳細に把握するためには, 地震計が設置されていない地点での地震動を推定する手法の構築が必要である. 本研究では, 簡易に地盤の震動特性を把握することができる常時微動に着目し, 常時微動H/Vスペクトル比を用いて1地点の地震記録から他点の地震動を推定する手法について, その利用可能性について水平動と上下動の増幅度などの実観測データとの比較から検討した.
  • 本田 利器, 大濱 吉礼
    2002 年 2002 巻 696 号 p. 273-283
    発行日: 2002/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地震動のような非定常波形の時間周波数特性を規定する手法として Wigner 分布が挙げられる. Wigner 分布は種々の好ましい特性を有するが, 一般には時系列信号への逆変換ができない等, 実用的でない面がある. 本論文では正規直交ウェーブレットの cross-Wigner 分布を用いることにより, 任意の Wigner 分布から波形を合成する手法を提案する. また, 提案した手法を, 周波数特性の変化する強震記録の時間周波数領域上での分離に適用して, その有効性を確認する.
  • 井浦 雅司, 折野 明宏, 石澤 俊希
    2002 年 2002 巻 696 号 p. 285-298
    発行日: 2002/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本報告では, コンクリートを部分的に充填した単柱形式の円形鋼製橋脚を対象として, 一定の軸力下において, 漸増繰り返し横力を作用させた耐荷力実験を行った. 供試体の寸法, コンクリートの強度とその充填率, ダイヤフラムの設置位置, 載荷方法などを変化させて, 供試体の最大耐力, 荷重-変位履歴曲線鋼管の局部座屈発生位置やコンクリートの損傷位置に与えるそれらの影響について調べた. さらに, コンクリート充填鋼管の最大耐力を推定する方法を提案し, 本実験結果や既往の実験結果を用いてその妥当性を確認した. また, その推定方法を用いて, コンクリートの最適充填率を求める方法を提案し, 本実験結果を用いてその妥当性を検討した.
  • 岩本 政巳, 藤野 陽三
    2002 年 2002 巻 696 号 p. 299-310
    発行日: 2002/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    自由振動法に基づく橋桁の非定常空気力同定手法として, 著者らは風洞実験により得られたモード情報から有限次数近似モデルの係数パラメータを直接推定する方法を提案している. 本研究では, ある偏平箱桁についての風洞実験結果から非定常空気力の同定を行い, 本手法の適用性を検討した.
    その結果, 比較的精度の低い実験データからでもかなり良好なモード情報再現値と非定常空気力係数が得られることが分かった. また, 同定に用いる評価関数の重み係数設定においては, モード情報の残差に基づく最尤法の適用が有効であることを示した.
  • 村田 清満, 岩田 秀治, 池田 学, 高山 智宏, 木下 雅敬
    2002 年 2002 巻 696 号 p. 311-321
    発行日: 2002/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    従来の鉄道高架橋には, 主に経済性の観点から鉄筋コンクリート構造のラーメン高架橋が多く用いられている. 一方, 施工環境の厳しい条件下では, 型枠, 配筋等の現場作業を省略することができれば, 施工の安全性の向上と全体工費の低減が期待できる. コンクリート充填鋼管を柱部材とした複合構造の鉄道ラーメン高架橋は, 鋼管を型枠として使用できることから施工の簡素化, および工期短縮が可能であり, 加えて, 鋼とコンクリートの合成効果により高い耐震性能が得られる. 本報文は, このような複合構造の鉄道ラーメン高架橋を対象に, 筆者らがすでに提案した部材の耐荷性能の評価手法を用いて大規模地震に対する構造物の安全性の照査例を示したものである.
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