抄録
大阪湾周辺の2種類の洪積粘土 (大阪湾粘土Ma11層及び京都粘土Ma4層) を用いて, 不攪乱状態及び圧密に伴って変化する微視構造特性を, 水銀圧入型ポロシメータによる間隙径分布の測定と電子顕微鏡による観察から明らかにした. 実験に用いた洪積粘土は, 含まれる粘土鉱物は同一であるが, 京都粘土に比べて大阪湾粘土には多量の珪藻類が混入している. 京都粘土は, 圧密に伴い間隙が顕著に収縮し, 全体的により小さな間隙径分布となっていく. 一方, 大阪湾粘土は, 京都粘土に比較して, 全体的な間隙径の収縮は生じにくい. 最大圧密圧力 (p=10MPa) において比較すると, 京都粘土の間隙径は, 大阪湾粘土のものよりもかなり小さくなる. この違いは, 珪藻類を含めたマクロ的な粘土構成物自体の相違によるものと考えられる.