抄録
近年, トンネル弾性波探査にトモグラフィ的解析法 (トモグラフィ法) が用いられるようになった. トモグラフィ法を用いた定量的トンネル地山評価を評価するため, 35トンネル44測線についてトモグラフィ法による解析を行い, 従来のはぎとり法に代表される層構造解析 (従来法) 結果との比較を行った. また, 切羽観察記録における評点に基づき, トモグラフィ法と従来法の信頼性評価を行った. その結果, 筆者らが対象とした範囲内において, 花崗岩および粘板岩のトンネルでは, トモグラフィ法は従来法に比較して良好に, 砂岩・頁岩互層では, 従来法と同等に地山状態を推定できていることが明らかになった. トモグラフィ法が, トンネル弾性波探査において, 有効な解析方法であることが実証された.