土木学会論文集
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2002 巻, 707 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 持永 龍一郎
    2002 年 2002 巻 707 号 p. 1-19
    発行日: 2002/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    道路技術の目的は安全を確保することであり, 通行者ヘサービスすることであり, さらに自然環境を守ることである. 日本の高速道路の土工技術においてその目的達成のための経緯について述べ, 今後のあり方について経験を重視することの必要性について述べる.
  • 江頭 和彦, 岩瀧 清治, 佐藤 孝夫, 片桐 雅明, 寺師 昌明, 吉福 司
    2002 年 2002 巻 707 号 p. 21-36
    発行日: 2002/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    新北九州空港は, 港湾・航路整備にともない発生する浚渫土砂の埋立地 (土砂処分場) を有効活用して整備される. その利点は, 土砂処分場を利用するため新たに空港用地を埋立・造成する必要がないこと, 海上に立地するため騒音等の問題が少ないことなどである. しかし, 浚渫土自体が大きく圧密沈下すること, 埋立後直ちに表層処理・地盤改良する急速施工であるため埋立地の初期状態を詳細に地盤調査する時間的余裕が乏しいことなど, 地盤工学的に大きな問題を有している. 本文では, 浚渫土による埋立から空港施設建設に至るまでの各建設工程において, 事業を計画どおり進めていくための問題点を抽出し, その解決方法を検討・提案した. また, 浚渫土埋立では動態観測結果から埋立予測手法に対する評価も行い, 地盤改良の概略設計では埋立過程をシミュレートした数値解析結果を初期状態として用いることを提案した.
  • 三谷 浩二, 海瀬 忍, 吉武 勇, 中川 浩二
    2002 年 2002 巻 707 号 p. 37-50
    発行日: 2002/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    はね返りの少ない繊維補強吹付けコンクリートの合理的配合を求める目的から, プレーンおよび鋼繊維補強吹付けコンクリートの吹付け試験を実施した. 合理的配合の模索過程において, 一般的な配合よりはね返りが10%程度低減できるプレーン吹付けコンクリートの配合を求めた. しかしながら, 同コンクリートによる繊維補強吹付けコンクリートでは, 繊維のはね返り率が40%以上に達し経済性が懸念された. そこで, 従来型とは特性の異なる数種類の吹付けコンクリートについて検討を図った. その結果, 粉体急結剤を改良して吹付け直後のコンクリートに可塑性を持たせる, コンクリートの高粘性化を図る, 吹付け後初期の凝結反応が遅い液体急結剤を使うなどの方法が有効であることが確認された.
  • 沖村 孝, 南部 光広, 篠原 秀明, 桜井 秀憲, 前田 修
    2002 年 2002 巻 707 号 p. 51-65
    発行日: 2002/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 高盛土地盤における動的性質の把握を目的として, 盛土材の各種物性試験ならびに盛土地盤築造後にPS検層, S波トモグラフィー, 常時微動測定などを行うとともに, それらの結果を利用して, 地盤物性や微動特性の検討を行った. あわせて, 鳥取県西部地震の観測波形を用いて盛土地盤における動的解析を行い, 実測値との対比を行った. その結果, 盛土地盤のS波速度より求めた地盤の初期せん断弾性係数は盛土材の土質試験結果とほぼ同程度の値を示していた. また, それらの値を使って動的解析より求められた波形は, 観測波形と概ね良く一致していた. 常時微動と地震波形との比較では, 卓越周波数特性は異なるものの, 盛土地盤における増幅特性が両者ともほぼ同じような傾向を示していた.
  • 倉本 和正, 守川 倫, 鉄賀 博己, 荒川 雅生, 中山 弘隆, 古川 浩平
    2002 年 2002 巻 707 号 p. 67-81
    発行日: 2002/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    がけ崩れの発生予測手法として提案されている発生限界雨量線は, 従来から降雨要因のみで設定されており, 斜面毎に異なる崩壊危険度は考慮されていない. しかも, そのほとんどは非常に複雑な自然現象を線形で表現していることから, 精度の高い予測を行うことは困難である. そこで, 本論文ではそれらの問題を同時に解消するために, RBFネットワークを用いて個別斜面毎の非線形がけ崩れ発生限界雨量線の設定を試みた. また, 提案した個別斜面毎の非線形がけ崩れ発生限界雨量線の予測精度を検証するために, 著者らがこれまでに提案した2つの発生限界雨量線との精度比較を行い, 提案した発生限界雨量線の有効性を確認した.
  • 長通 伸幸, 深和 岳人, 香月 智, 松村 和樹, 小山内 信智
    2002 年 2002 巻 707 号 p. 83-100
    発行日: 2002/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 重信川の砂防区域直下流で観測された年間河床変動データを用いて, ニューラルネットワークによる予測モデルを構築し, 予測モデルの適用性について検討したものである. この際, 上流部の砂防ダム建設の影響があることを考慮したモデル構築を行った. さらに, 降雨データや砂防ダム建設による効果のタイムラグを考慮することについても提案した. ニューラルネットワークモデルの特徴を分析するために, 重回帰モデルによる予測についても同様に検討し, 観測データの統計モデルとしての特性を検討した. 提案するニューラルネットワークの年間河床変動量予測モデルは, 内挿の非線形フィッティングを行うため, 重回帰モデルと比較して良い推定を示し, 数年間の長期予測にも使用できることを示した.
  • 大塚 正博, 塩冶 幸男, 小林 亨, 小泉 淳
    2002 年 2002 巻 707 号 p. 101-110
    発行日: 2002/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    シールドトンネルの止水性を確保するための水膨張シール材が開発されたのは1980年代前半である. 実施工の結果から止水に対するこのシール材の有効性が確認されて20年近く経過しているが, 長期的な耐久性については十分に評価されていないのが現状である. このため, シール材の耐久性試験方法や水膨張シール材の良否を判定する標準的な基準も定まっていないため, 従来の工事の経験や実験に基づきシール材を選定しているのが実情である. 本研究は, シール材に要求される機能に着目して, 耐久性の評価項目を設定したものであり, これに基づいて, その試験方法を提案するとともに, 現状における水膨張シール材の長期耐久性能を評価したものである.
  • 三木 茂, 吉田 幸信, 井上 浩一, 中川 浩二
    2002 年 2002 巻 707 号 p. 111-124
    発行日: 2002/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年, トンネル弾性波探査にトモグラフィ的解析法 (トモグラフィ法) が用いられるようになった. トモグラフィ法を用いた定量的トンネル地山評価を評価するため, 35トンネル44測線についてトモグラフィ法による解析を行い, 従来のはぎとり法に代表される層構造解析 (従来法) 結果との比較を行った. また, 切羽観察記録における評点に基づき, トモグラフィ法と従来法の信頼性評価を行った. その結果, 筆者らが対象とした範囲内において, 花崗岩および粘板岩のトンネルでは, トモグラフィ法は従来法に比較して良好に, 砂岩・頁岩互層では, 従来法と同等に地山状態を推定できていることが明らかになった. トモグラフィ法が, トンネル弾性波探査において, 有効な解析方法であることが実証された.
  • 岩波 基, 小泉 淳
    2002 年 2002 巻 707 号 p. 125-139
    発行日: 2002/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    大深度円形立坑における仮設山留め壁の設計は, 通常, 土水圧と偏側圧とをその設計荷重として考慮し行っている. このうち偏側圧は設計結果に大きく影響するが, その値には合理的な根拠がなく, 慣例的に全側圧の5~10%, または, 側方土圧の10~20%を設定している.
    本研究は, 鴨下らにより報告された首都圏外郭放水路第一立坑の計測デーダを基に, 連続地中壁工法で施工した大深度円形立坑の山留め壁に作用したと推測される側圧を整理して, ある条件下においては, 偏側圧は水圧の変動によって発生することを計測データと解析結果から指摘するとともに, 現行の設計手法の課題についても検討を加えたものである.
  • 浦野 知子, 青木 茂, 菅野 滋, 青木 浩之, 中野 正文
    2002 年 2002 巻 707 号 p. 141-152
    発行日: 2002/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    LNG地下ダンクにおける, 厚さ8m, 面積4500m2というマッシブな底版コンクリート打設に際して, 暑中環境下の打設, および打重ね時間の遅延により, コールドジョイントの発生に伴う打重ね面の性能の低下が危惧された. そこで, 配合・施工面からのコールドジョイント発生防止対策, および施工時の品質管理方法について検討を行った. 対策の選定では, 打重ね面の簡易一面せん断試験および凝結試験を基に, プロクター貫入抵抗値を打重ね面性能の評価指標として採用し, 打継ぎ処理を行った場合と同等以上の打重ね面性能が得られるような対策を選定した. また, 品質管理方法としてバイブレータ試験, 人的感度試験を導入することにより, 良質な底版コンクリートを施工することができた.
  • 佐藤 丈晴, 荒川 雅生, 中山 弘隆, 鉄賀 博己, 古川 浩平
    2002 年 2002 巻 707 号 p. 153-163
    発行日: 2002/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    降雨によるがけ崩れ発生予測としてがけ崩れ発生限界雨量線 (CL) の設定手法が提案されている. しかしながら, 従来のがけ崩れ発生限界雨量線はほとんどが線形で示されており複雑な自然現象を再現しているとは言い難い. またその的中精度が低い問題がある. そこで本研究では, 従来のがけ崩れ発生限界雨量線の問題を解決するために, 包絡分析法 (DEA) を応用して警戒避難基準雨量の設定を試みた. 本手法では降雨データの分布のみから, 最適な警戒避難基準雨量の設定ができる. そして, がけ崩れの予測に関する検討を行い従来のがけ崩れ発生限界雨量線と比較して精度の向上を確認した. さらに警戒基準雨量, 避難基準雨量の設定を試み, 従来手法との比較を行いその有用性を検証した.
  • 小島 尚人, 北村 良介, 大林 成行, 伊代田 尚志
    2002 年 2002 巻 707 号 p. 165-176
    発行日: 2002/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, シラス自然斜面の崩壊危険箇所評価支援を目的とし, 衛星から観測される熱赤外域情報の適用性について検討したものである. 筆者らが開発した斜面崩壊危険箇所評価モデルをベースとして, 1) ケース1: 地理情報+衛星熱赤外域情報+植生指標, 2) ケース2: 地理情報+衛星熱赤外域情報, 3) ケース3: 地理情報+植生指標, といった3ケースを設定した. 数量化II類とIII類による分析の結果, 衛星熱赤外域情報を使用した場合 (ケース1, ケース2) には, 潜在危険斜面の推定精度が向上することが判った. さらに, 衛星熱赤外域情報の使用の有無に伴う評価結果の違いを抽出した「差画像」を最終成果図として提示し,「崩壊危険側・安全側」といった評価が展開できることを示すとともに, 現地調査や斜面安定化計画等への支援情報として有用性の高いことを示した.
  • 前田 研一, 中村 一史, 野村 國勝, 成田 信之
    2002 年 2002 巻 707 号 p. 177-194
    発行日: 2002/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 斜張橋と吊橋を組み合わせ, それぞれの長所によって短所を互いに補い合う新吊形式橋梁として注目されている斜張吊橋を対象に, 超長大橋への適用の実現性を検討したものである. 本論文では, 中央径間長2,500mの超長大斜張吊橋を対象として, 斜張区間と吊区間の区間長比を変えた3タイプの比較検討案について, 設計荷重に対する静的構造特性, 座屈安定性, および, 部材別の所要鋼重などを比較し, 吊橋とも対比させて, 最適な区間長比を探るとともに, 経済的に優位となる可能性を示した. さらに, 固有振動解析, 連成フラッター解析によって, 動的耐風安定性が吊橋に比べ優れていることを確かめ, 提案した構造的対策を施せば, より厳しい設計条件に対しても経済性を大きく損なうことなく十分な安全性を確保できることを明らかにした.
  • 川島 正史, 津田 守, 金子 雄一, 原田 光男
    2002 年 2002 巻 707 号 p. 195-205
    発行日: 2002/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 火力発電所構内に埋設される取放水管の断面方向の設計に関し, 限界状態設計法を導入し, 要求機能と限界状態, 考慮する荷重作用の組み合わせについて整理するとともに, それらに対する部分安全係数を設定した. また, 構造解析には地盤の非線形性や管と地盤の相互作用を考慮した非線形FEMの適用を提案した. さらに, この構造解析の適用性を, 土槽を用いた模型試験や実管の計測結果に基づき検証した.
  • 大津 宏康, 大西 有三
    2002 年 2002 巻 707 号 p. 207-218
    発行日: 2002/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は開発途上国建設プロジェクトでのリスクマネジメント手法について検討を加えるものである. 具体的には, 開発途上国建設プロジェクトの事例として, タイでの建設プロジェクトに係わるエンジニアへのインタビュー調査結果およびOECF (海外経済協力基金) の円借款案件の事後評価結果を用いて, 支配的となるリスク要因に対する国際建設市場での契約管理の適用性について考察を加える. さらに, 簡単な数学モデルを用いて契約管理を基本とするリスク分配手法自体の適用限界についても考察を加える. 最後に, 既往のリスク分配方法の問題点に関する解決策として, 新たな考え方を取り入れたリスクマネジメント手法の基本概念についても提案する.
  • 永井 泉治, 吉武 勇, 仁尾 彰一郎, 浜田 純夫
    2002 年 2002 巻 707 号 p. 219-224
    発行日: 2002/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 山岳トンネル坑口部近傍におけるパイプヒーティングシステムの構築を目的とするものである. 特に, 山岳トンネルの持つ湧水量が, 融雪所要面積に比して不足する場合を想定するため, トンネル外部からトンネル内へ水供給を行った際の排水量・温度を調べるとともに, トンネル周辺の岩盤および中央排水管内の温度変化の計測を行った. また, 同実験結果に基づいて各種融雪工法の維持費・設備費の試算を行い, 本研究で提案するパイプヒーティングシステムの経済的有効性が確認された.
  • Sangwuk JI
    2002 年 2002 巻 707 号 p. 225-230
    発行日: 2002/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    After IMF economic crisis, the great efforts have been made to break down the high-cost and low efficiency structure in Korean construction industry. Korean government introduced Design VE Program to cope with that situation, connected with Technique Improvement Incentive Program and Budget Saving Incentive Program.
    This paper is to review the present condition and drawbacks of those programs and design VE with several examples and to present recommendations to go on with Design VE program.
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