抄録
本研究は, シラス自然斜面の崩壊危険箇所評価支援を目的とし, 衛星から観測される熱赤外域情報の適用性について検討したものである. 筆者らが開発した斜面崩壊危険箇所評価モデルをベースとして, 1) ケース1: 地理情報+衛星熱赤外域情報+植生指標, 2) ケース2: 地理情報+衛星熱赤外域情報, 3) ケース3: 地理情報+植生指標, といった3ケースを設定した. 数量化II類とIII類による分析の結果, 衛星熱赤外域情報を使用した場合 (ケース1, ケース2) には, 潜在危険斜面の推定精度が向上することが判った. さらに, 衛星熱赤外域情報の使用の有無に伴う評価結果の違いを抽出した「差画像」を最終成果図として提示し,「崩壊危険側・安全側」といった評価が展開できることを示すとともに, 現地調査や斜面安定化計画等への支援情報として有用性の高いことを示した.