抄録
本稿では, 複数の意思決定主体 (DM) の間で利害の対立があって社会的ジレンマに遭遇し, 競合解消のための合意形成が必要な場合を対象にして, 集団意思決定を数理的にモデル化する方法を示す. そこでは, 各DMが社会的倫理性からお互いの立場をよく考え,「どのようにすれば集団全体 (社会) がよりよい状態に移行するか?」といった倫理感と社会的な眼をもった柔軟性に富んだ選好構造をとらえてモデル化し, 凸依存性に基づいたグループ効用モデルを示す. これによって, 集団を構成する複数のDMに関して, 自己主張が強く利己的な態度を示すDM, 協調性があって柔軟な態度を示すDMなど, 各DMの様々な行動パターンをモデル化することができる.