抄録
本研究では地域間スピルオーバー効果を考慮した社会資本の生産性を評価する方法を提案する. その際, 社会資本のスピルオーバー効果として, 地域を越えた活動主体による社会資本の利用可能性 (直接的スピルオーバー効果) と, 地域間における知識のスピルオーバー効果 (間接的スピルオーバー効果) をとりあげる. その上で, 社会資本の直接的, 間接的なスピルオーバー効果を同時にモデル化しうる生産関数モデルを提案し, わが国における社会資本の生産性とスピルオーバー効果を計測する. その結果, 直接スピルオーバー効果と間接スピルオーバー効果を介して, 社会資本は他の地域の生産性向上に貢献することを明らかにしている.