抄録
流域規模で土砂動態を明らかにする分布型土砂流出モデルを構築する. 対象とするインドネシア・ブランタス川上流域は火山灰土に覆われているため, 斜面侵食による土砂生産が卓越する. GIS, リモートセンシングを応用して中間流・表面流混合型の Kinematic Wave Runoff モデルを構築し, 表面流のもつ輸送可能土砂量より土砂生産, 堆積過程をシュミレートする. 輸送可能土砂量は Unit Stream Power により計算する. 1995年~96年の雨季を対象とした計算結果は下流端の貯水池における同期間の堆砂量とほぼ同じ推定値を与えることができるとともに, 耕作された山腹斜面からの土砂生産量が多いなどの現象を物理的合理性をもって表現している. また, 土砂移動に伴う標高の変化を逐次更新することで, より現実的な河床変動を示すことが可能となった.