土木学会論文集
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2003 巻, 726 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
  • 佐山 敬洋, 寶 馨
    2003 年2003 巻726 号 p. 1-9
    発行日: 2003/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    流域規模で土砂動態を明らかにする分布型土砂流出モデルを構築する. 対象とするインドネシア・ブランタス川上流域は火山灰土に覆われているため, 斜面侵食による土砂生産が卓越する. GIS, リモートセンシングを応用して中間流・表面流混合型の Kinematic Wave Runoff モデルを構築し, 表面流のもつ輸送可能土砂量より土砂生産, 堆積過程をシュミレートする. 輸送可能土砂量は Unit Stream Power により計算する. 1995年~96年の雨季を対象とした計算結果は下流端の貯水池における同期間の堆砂量とほぼ同じ推定値を与えることができるとともに, 耕作された山腹斜面からの土砂生産量が多いなどの現象を物理的合理性をもって表現している. また, 土砂移動に伴う標高の変化を逐次更新することで, より現実的な河床変動を示すことが可能となった.
  • 藤田 睦博, Surakha WANPHEN, 田中 岳, 清水 康行
    2003 年2003 巻726 号 p. 11-30
    発行日: 2003/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    ルアイ・藤田らは, 山腹斜面の流出に関して種々の非線形分布定数系のモデルを用いて, 降雨量と斜面末端からの流出量間の等価周波数伝達関数を求める手法を提案している. 本研究は, この手法を発展させ, kinematic wave 式を基本モデルとして任意のマグニチュードの河道網流域において, 流域への入力である降雨量と流域全体からの流出量間の等価周波数伝達関数を求める手法を示している. 得られた等価伝達関数を規定しているパラメータは, 平均降雨量に関する斜面域, 河道域の到達時間になっていることを明らかにした. さらに, 得られた等価周波数伝達関数が, 2~3次遅れ系で近似できることを示した. 遅れ系のパラメータを等価周波数伝達関数より求め, これらが河道網の構造に依存していることを明らかにした.
  • 井上 純哉, 杉田 博章
    2003 年2003 巻726 号 p. 31-39
    発行日: 2003/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    高レベル廃棄物の地層処分の安全性評価のためには, 処分場掘削に伴う応力開放が個々の亀裂に及ぼす影響を評価出来ることが望まれる. 本研究ではそのような評価の前段階として, 亀裂がせん断変形により生じると考えられる亀裂開口幅分布の変化に着目し, そのような変化が単一亀裂内の透水特性にどのような影響を与えるかを明らかにすることを目的とした. 本研究ではまず, 亀裂の透水性を支配する開口幅分布のパラメータとして, 平均や分散に加え亀裂開口幅分布の自己相関関数を考慮し, 数値解析により亀裂開口分布の変化が透水性に大きな影響を及ぼしうることを示す. 次に, 亀裂内の透水の支配方程式である Reynolds 方程式を確率微分方程式として解くことにより, 解析的な4次までの近似解を導出し, 亀裂開口幅分布の変化が及ぼす影響を明確に示す.
  • 宮本 仁志, 神田 徹, 大江 和正, 下山 顕治
    2003 年2003 巻726 号 p. 41-53
    発行日: 2003/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    開水路流れにおける瞬時の水面形状と内部流速を同時測定するための画像計測手法の開発を行った. 本計測法では, 同一画像フレーム内に撮影された水面・流れ場の可視化画像を用いて, PIVによって内部流速を測定し, また水面での輝度勾配から水面高さを算出し, 水面変動を伴う流れ場の瞬間的・面的な計測を可能にした. 次に, 開水路凹部での射流を対象として, 同手法により計測した水面形・流速の解析を行った. 平均水面高さ, 平均流速, 乱流諸量などの空間分布を求め, また水面の時空間分布にウェーブレット変換を施して伝播速度, 時間・空間スケールなど変動特性を明らかにするとともに, 水面・流速の変動成分に対する主成分分析により凹部混合層での組織運動と水面変動の相互関連を調べた.
  • 〓川 登, 三戸 孝延, 町山 友和
    2003 年2003 巻726 号 p. 55-60
    発行日: 2003/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    都市河川の治水対策の一環として考えられている地下放水路は立坑とトンネルで構成されている. 地下放水路の流れは開水路状態から管水路状態になり, 再び開水路状態の流れに戻るが, 開水路状態から管水路状態に移行するさいにトンネル内に空気が閉じ込められる. 本研究では, トンネル内に閉じ込められた空気が地下放水路の流れに及ぼす影響をスロットモデルを用いて解析し, 地下放水路の流れを解析するためには空気の圧縮性と立坑からの空気の排出を考慮することが必要であることを示し, またトンネル内に空気が閉じ込められると, 立坑の水位およびトンネル内の圧力が上昇することを示した.
  • 禰津 家久, 山上 路生, 坂根 由季子
    2003 年2003 巻726 号 p. 61-71
    発行日: 2003/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    水深が時間的に変化する非定常な複断面開水路流れは水工学・河川工学上で最も重要な流れの一つであり, その乱流構造を解明することは不可欠である. 従来の多くの研究によって非定常な単断面開水路乱流の鉛直2次元特性が明らかにされて来た. しかしながら非定常な複断面開水路乱流の3次元特性に関しては未だに不明な点が多い. 我が国の河川の多くが複断面形状を有していることを考えると, 非定常な複断面流れの水理特性を3次元的に解明することは治水上および河川環境上できわめて重要である. そこで本研究では, 非定常な複断面開水路流れをレーザー流速計で乱流計測して, その3次元構造を解明し, 内部構造の現象モデルを提案する.
  • 高山 知司, 高橋 英紀, 北野 正夫, 永井 紀彦
    2003 年2003 巻726 号 p. 73-85
    発行日: 2003/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    広く外洋に面した港湾では, 多峰型方向スペクトルが予想以上に多く現れることが明らかになっている. 多峰型方向スペクトル波を単峰型として扱うと, 港内静穏度などの解析結果に大きな誤差を含む可能性がある. 本研究では, 御前崎と御坊, 高知沖における1年間の波浪観測データを用いて, 多峰型を含む方向スペクトルの出現特性を調べるとともに, 多峰型方向スペクトル波が出現する原因を明らかにするために, 気象配置と波浪の関係についても調べている. その結果, 太平洋側で観測される多峰型方向スペクトル波は, 周期の長いS波 (南方向からの波浪) と短いS波や観測点付近で発達した風波が周辺の地形の影響を受けることによって出現することがわかった.
  • 後藤 仁志, 林 稔, 目見田 哲, 酒井 哲郎
    2003 年2003 巻726 号 p. 87-98
    発行日: 2003/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    砕波・越波現象は, ジェットの水面との衝突・飛沫の発生といった水塊分裂・再合体を伴う複雑な水面の挙動に特徴付けられるので, 高解像度の水面追跡が数値モデルの必須要件である. 計算格子を用いない粒子法は, 簡潔なアルゴリズムで移流慣性項の離散化に伴う数値拡散を効率的に回避できる方法である. 本稿では, このような粒子法の利点に注目し, 砕波・越波過程の水面形の時系列および越波流量を対象とした水理実験結果や既往の自由表面流解析による計算結果との比較を通じて, 直立壁前面における砕波・越波過程への粒子法の適用性を検証する. また, 粒子法の弱点の一つである計算負荷の大きさについて, 近傍粒子検索にスクリーニングのプロセスを導入し, 計算の所要時間の大幅な短縮が可能となることを実証する.
  • 算定打上げ高と不規則波の代表打上げ高の関係
    間瀬 肇, 宮平 彰, 桜井 秀忠, 井上 雅夫
    2003 年2003 巻726 号 p. 99-107
    発行日: 2003/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 人工リーフが設置された場合とない場合について, 汀線近傍に設置された護岸への不規則波の打上げ実験を行ってその特性を調べるとともに, 現行算定法による打上げ高算定値が実験結果をどの程度表せるのか, すなわち不規則波のどのような代表打上げ高に対応するかを検討した. その結果1) 不規則波の打上げ高分布は Rayleigh 分布で表されること, 2) 人工リーフが設置された場合に, リーフ通過後も有義波周期は変化しないとして求めた打上げ高算定値の方が実験値との対応が良くなること, 3) 打上げ高算定値は1/3最大打上げ高の下限および平均打上げ高の上限に対応する値であることが明らかになった.
  • 栗山 善昭, 内山 雄介, 中村 聡志, 永江 友和
    2003 年2003 巻726 号 p. 109-120
    発行日: 2003/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    導流堤を有する感潮湖湖口周辺海岸の地形変化を検討するために, 静岡県浜名湖今切口において導流堤の建設中および建設後の30年間に取得された25枚の深浅データを経験的複素固有関数法などによって解析した. その結果, 引き潮によって生じた深みが解析期間中深くなっていること, 解析期間前半では湖口両側に形成された浅瀬は岸向きに移動していたけれども解析期間後半には漂砂上手側の浅瀬の移動方向が沖向きに変化したことを明らかにした. さらに, 湖口の漂砂上手側における堆積量は時間とともに減少するにもかかわらず下手の海岸に供給される土砂量は増加していないこと, これは導流堤を通過した土砂が引き潮デルタに捕捉されたためであること, デルタに捕捉された土砂の量は1992年にほぼ平衡状態に達していたことなどを示した.
  • 海野 修司, 若月 利之, 増永 二之, 伊与田 勝己
    2003 年2003 巻726 号 p. 121-129
    発行日: 2003/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 多段土壌層法の河川の直接浄化への適応を目的に, 2000年12月より一級河川遠賀川の支川, 熊添川を対象に1年間実証試験を行い水質浄化性能の検討を行った. この結果, 多段土壌層法の特徴である高速負荷条件 (4m3/m2/日) を1年間継続しても, 河川水のBOD6-105mg/l (平均30mg/l) を平均で2mg/l まで年間を通じて安定して処理ができ, 修景用水あるいは親水用水として利用できる処理水質を得ることができた. 通水層資材の水質浄化能の比較 (ゼオライトと軽石) では, BOD除去に関しては軽石の方がやや優れていた. また, 多段土壌層装置における各汚濁物質除去係数を求めた. 多段土壌層装置内への河川水中の無機SSの蓄積による目詰まりまでの耐用年数を推定した結果, 耐用年数は20年以上と推定された.
  • 光永 臣秀, 平石 哲也, 宇都宮 好博, 三原 正裕, 大川 郁夫, 中川 浩二
    2003 年2003 巻726 号 p. 131-143
    発行日: 2003/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    1999年の台風18号は, 山口県の周防灘沿岸に甚大な被害を及ぼした. 本研究では, Myers の傾度風モデルおよびマスコンモデルにより風域場を再現し, 被害発生に至るまでのこの台風による高潮と波浪のシミュレーションを行い, 山口県周防灘沿岸代表11地点の被災時における各施設への波力等の外力を推定した. これにより, 現行の設計方法を用いて護岸や防波堤の被災メカニズムについての検討考察を行った結果, 防災基準の設定時の想定を越えた異常潮位や波浪の発生により, 護岸においては基準を超えた越波による裏埋土砂の洗掘と, 想定を越えた引き波による負圧発生, 防波堤においては浮力の増大により堤体が不安定化が生じ被災に至ったものとの結論を得た.
  • 竹内 洋市, 須賀 如川, 竹澤 三雄
    2003 年2003 巻726 号 p. 145-150
    発行日: 2003/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は、従来, 評価されてない治水効果の時間的・地域的効果を考慮して, 現在算定している直接被害と間接被害防除効果に追加加算して評価することで経済効果をより適正に評価させる新しい経済評価手法の提案を行っている. 治水効果の時間的波及効果については17世紀初頭の木曽川改修をケースタディに挙げ, 治水効果の地域的波及効果についてはマニラ首都圏洪水対策をケースタディに挙げた. この結果, 既存の計画では経済効果評価の側面から実施可能性が低い事業とされた事業も実際には実施可能性の高い事業であることが明確になった.
  • Hideo MATSUTOMI
    2003 年2003 巻726 号 p. 151-156
    発行日: 2003/02/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    A solution is derived for dam-break flow over a uniformly sloping bottom, under the assumption that each receding characteristic line of flow is parabolic. The hydraulic resistance of the bottom is not considered in the derivation. The validity and characteristics of the solution are examined through comparisons with Matsutomi's approximate solution under the same flow conditions, and with Ritter's and Peregrine et al.'s solutions. The solution is expected to be useful in examining or solving practical problems in hydraulic or coastal engineering, and any result obtained from it can be easily compared with experimental data.
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