抄録
PCB (ポリ塩化ビフェニル) のような有機塩素系化合物による汚染地下水の拡散を未然に防ぐために透水性反応浄化壁におけるPd被覆鉄粉による触媒的な脱塩素効果について実験を行った. 初期濃度20mg/Lのアロクロール1254の脱塩素反応物質として零価鉄粉とPd被覆鉄粉 (0.01%Pd, 0.03%Pd, 0.06%Pd, 0.3%Pd) を使用した, 分析は高分解能のGC-MSとGC-ECD分析のピーク同定により行い, 総濃度と異性体について分解率を検討した, その結果, 0.3%Pd被覆鉄分の場合は120時間後に初期濃度の99.98%の分解率, 即ち, 0.005mg/Lまでの濃度の減少が確認された. Pd被覆鉄粉は水素置換反応による高い分解能を持っているので, PCBのような分解しにくい汚染物質に対する透水性反応浄化壁に効果的な反応物質であると考えられる.