抄録
Pd被覆鉄粉によるPCB (ポリ塩化ビフェニール) の脱塩素に関する表面解析を検討した. X線光電子分光法 (XPS) と電子プローブマイクロアナリシス (EPMA) を用いて, PdとFeの結合形態と表面の化学的な状態を考察した. また, 走査プローブ顕微鏡 (SPM) を用いて表面粗さの形態変化を観察した. XPSとEPMAの結果, Pdのコーティング状態は鉄の表面上に零価のPd塊として存在し, PCBの脱塩素過程からFeOOHの不動態被膜が形成された可能性が高いと判断される. また, SPMの結果からは脱塩素反応によって表面にピットという隙間が存在し, 反応場として作用できることと推測された. 本研究の基礎的な表面特性の考察は透水性反応浄化壁の脱塩素化効率の向上させ, その適用性を高めることができると考えられる.