土木学会論文集
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生態学的パラメータによる河川底生動物群集の動態特性の評価
渡辺 幸三吉村 千洋小川原 享志大村 達夫
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2003 年 2003 巻 734 号 p. 99-110

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抄録
河川底生動物群集の評価は, 群集の定常性を前提とした研究が多いが, 群集の動態 (時間変化) も考慮した研究は少ない. そこで本研究では, 密度依存性と確率変動成分を考慮した数理モデルである群集動態モデルを東京都に分布する底生動物群集 (N=70) のバイオマスの経年変化に適用した. そして, そのモデルパラメータ (K: 環境収容力, r: 比増加速度, s: 変動強度) を推定して動態特性を定量的に把握し, その特性と河川環境や種多様性等との関連性を調べた. その結果, 生息環境の溶存酸素濃度 (DO) が低い群集ほどKの値が低く, sの値が高くなり, 浮遊物質 (SS) が高いほどKの値が低い傾向がわかった. また, 下流に進み河川の規模 (流量, 低水敷幅) が大きくなるほどKの値は小さくなり, 一方sの値が大きくなる傾向も明らかになった.
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