抄録
インドネシアにおいて, 汚水処理施設による水環墳汚染改善に対する支払い意志額 (WTP) をCVMによって調査し, 浄化槽方式による処理費用との比較を行った. 総便益は日本で浄化槽を設置している家庭の負担額と同程度であり, WTP自体は必ずしも低すぎるとは言えなかった. しかしながら, B/C比は1に満たなく, インドネシアでは自助により水環境改善を求めることには無理がある. 便益に見合った処理技術は総費用が3割程度になる必要があり, このためなお一層のローコストな技術開発が求められる. また, 一方において, 環境保全が持つ社会的便益を住民に理解してもらうための環境教育も重要である. 無償資金協力は, 便益の先行貯蓄となるため, 水環境汚染改善のための有効な手段である.